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中国勢のストロングHEVは日本のハイブリッド牙城を崩せるか – BYD・Geely・MGの新戦略NEW

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中国EV: 中国勢のストロングHEVは日本のハイブリッド牙城を崩せるか – BYD・Geely・MGの新戦略
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熱効率48.41%——ジーリーが4月13日に発表した新HEVシステム「i-HEV」の数字は、日本メーカーが長年磨き上げてきたハイブリッド技術への明確な挑戦状だ。北京モーターショー2026を目前に控え、中国メーカーが相次いでストロングHEVを打ち出している。BEV開発で蓄えたモーター技術を武器に、トヨタやホンダの「聖域」へ踏み込もうとしている。

BEV一辺倒からの転換——中国市場の「二刀流」

中国の新エネルギー車市場は、もはやBEV一色ではない。Response.jpの報道によると、2025年の販売実績ではBEVが1060万3000台に対し、PHEV(EREVを含む)が583万5000台。PHEV比率は年々上昇している。

最大手BYDの数字がこの傾向を端的に示す。2025年の総販売台数460万2000台のうち、BEVは225万6000台、PHEVは228万8000台。電動車の巨人でさえ、内燃機関を組み合わせたパワートレインが販売の半分を占める。充電インフラが行き届かない地方都市や、航続距離への不安を拭えない層が依然として大きいためだ。

こうした市場環境の中で、各社はさらに一歩進んだ「ストロングHEV」の開発に舵を切り始めた。外部充電を前提としないHEVは、ガソリン車からの乗り換えハードルが最も低い。中国メーカーはここに商機を見出している。

「EVらしい走り」を掲げる中国式HEV

中国メーカーのHEVには共通するコンセプトがある。「ストロングHEVでもEVらしい走り」だ。これを実現するカギが、駆動用バッテリーの大型化にある。

ジーリーのi-HEVをはじめ、MG(上海汽車傘下)やチェリー(奇瑞汽車)のハイブリッドSUVは容量1.83kWhのバッテリーを搭載する。対する日系メーカーの主流は1〜1.5kWh。数字だけ見れば2割から8割ほど大きい計算になる。

バッテリー容量が大きければ、モーター単独で走行できる距離と頻度が増す。発進時や低速域でエンジンを止めたまま走れる時間が長くなり、結果として乗り味はBEVに近づく。BEVやPHEVの量産で培ったモーター制御やバッテリーマネジメントの技術が、そのままHEVの競争力に転化されるわけだ。

日本勢のHEV——30年の蓄積と「次の一手」

もちろん日本メーカーの優位は簡単には崩れない。トヨタのTHS(Toyota Hybrid System)は1997年の初代プリウス以来、約30年にわたり改良を重ねてきた。最新の第5世代THSは熱効率41%超を達成し、システム全体の緻密な制御技術は膨大な実走データに裏打ちされている。ホンダのe:HEVも2モーター方式で高い評価を得ている。

ただし、日本勢のHEVは「低燃費」を最優先に設計されてきた。モーター走行の「気持ちよさ」や加速フィールは、あくまで燃費効率の副産物という位置づけが強い。バッテリー容量を抑えてコストと重量を最適化する思想は合理的だが、EV的な走行体験を求めるユーザーには物足りなさが残る場面もある。

一方、中国勢は最初から「モーター主体」を設計思想の軸に据えている。エンジンは発電と高速巡航時の補助に徹し、日常走行の大半をモーターで賄う。アプローチの違いは明確だ。

「第3の選択肢」になれるか——価格と信頼の壁

項目 日本勢HEV(トヨタTHS等) 中国勢HEV(Geely i-HEV等)
設計思想 燃費最適化優先 モーター主体・EV的走行感
駆動用バッテリー容量 1〜1.5kWh 1.83kWh前後
エンジン熱効率 41%超(トヨタ最新) 48.41%(ジーリー公称値)
実績・信頼性 約30年・累計数千万台 量産実績は限定的
外部充電 不要 不要

ジーリーが公称する熱効率48.41%は、トヨタの最新世代を7ポイント以上上回る数字だ。ただし、この値はあくまでメーカー発表であり、第三者機関の検証や実走行での燃費データはまだ出ていない。中国メーカーの公称スペックと実性能の乖離は過去にも指摘されており、慎重に見る必要がある。

価格競争力では中国勢に分がある可能性が高い。BEVで証明された中国のバッテリー調達コストの優位性は、HEVでも効いてくる。ただし日本市場に限れば、中国製HEVが選択肢に入るのは当面先の話だ。BYDは日本でBEVのATTO 3やDOLPHINを展開しているが、HEVモデルの日本導入は現時点で発表されていない。

4月25日に開幕する北京モーターショー2026では、ジーリーi-HEV搭載車の詳細スペックやBYDのDM-i次世代版が焦点となる。各社が実走データや量産スケジュールをどこまで具体的に示せるかが、中国製HEVの実力を測る最初の試金石になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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