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吉利i-HEV発表 – 熱効率48.4%で日系HVに挑む新世代ハイブリッド

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中国EV: 吉利i-HEV発表 – 熱効率48.4%で日系HVに挑む新世代ハイブリッド
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熱効率48.4%——。吉利汽車(Geely)が発表した新世代ハイブリッドシステム「i-HEV(インテリジェント・エナジー)」の数値は、トヨタが第5世代THS IIで達成した41%を大幅に上回るものだ。中国メーカーのHEV技術が新たな段階に入ったことを示している。

48.4%の熱効率が意味するもの

内燃機関の熱効率とは、燃料のエネルギーをどれだけ動力に変換できるかを示す指標だ。一般的なガソリンエンジンで30〜35%程度。トヨタが第5世代THS IIで達成した41%は長らく量産車のベンチマークだった。吉利のi-HEV専用エンジンはこれを上回り、48.4%を量産レベルで実現したと発表している

数字だけではない。電動ドライブ側も230kWを発揮し、0-30km/h加速1.84秒という俊敏さを備える。AIベースのエネルギー管理システムにより、エンジンとモーターの協調制御を最適化。総合エネルギー効率は従来比10%以上の向上を果たした。複合条件下での燃費2.22L/100km(約45km/L相当)はギネス世界記録の認定を受けている

11-in-1電動ドライブと搭載モデル

i-HEVのパワートレインは、1.5L自然吸気、1.5Lターボ(1.5TD)、2.0Lターボ(2.0TD)の3種類のエンジンと、モーター・インバーター・減速機などを一体化した「11-in-1電動ドライブユニット」を組み合わせる構成だ。部品点数を削減しつつ、車格やセグメントに応じた柔軟な展開が可能になる。

第一弾として発表されたのは、吉利プレフェイス(星瑞)とモンジャーロ(星越L)のハイブリッド仕様。WLTC燃費はプレフェイスが3.98L/100km、SUVのモンジャーロが4.75L/100kmと、いずれもクラストップレベルの数値を掲げる。参考までに、日本で販売されているトヨタ・ヤリスHVのWLTC燃費は約3.5L/100km(28.6km/L)、ホンダ・フィットe:HEVは約3.8L/100km(26.0km/L)。プレフェイスはセダンながらこれらコンパクトカーに迫る数値であり、車格を考えると競争力のある水準だ。

装備面でも抜かりはない。デュアルスクリーン、自社開発のFlyme Autoインフォテインメント、Huawei HiCar対応を標準的に搭載。上位グレードにはHUD(ヘッドアップディスプレイ)、ベンチレーション付きマッサージシートまで用意する。2026年中にはエムグランドやボーユエなど主力モデルへの展開も予定されている。

中国勢がHEVに本腰を入れ始めた背景

この動きは吉利だけの話ではない。中国ではChery(奇瑞)や長安汽車もHEV開発を拡大しており、一部メーカーは特定条件下で2〜3L/100kmの燃費達成を目標に掲げている。BEVやPHEVが注目される中国市場で、なぜ今HEVなのか。

理由は明快だ。HEVのバッテリー容量は1〜2kWh程度と小さく、PHEVの15〜30kWhやBEVの50〜100kWhと比べて原材料コストの影響を受けにくい。リチウムやコバルトの価格変動に左右されず、車両価格を抑えられる。加えて中国の政策がPHEV向け補助金を縮小し、技術中立的な方向へ舵を切りつつあることで、HEVの市場競争力が相対的に高まっている。

中国メーカーのHEVには共通する特徴がある。日系のように「燃費最優先でモーターは補助的」というアプローチではなく、高出力モーターで力強い走りを確保した上で、AIやソフトウェアによるエネルギー管理で燃費を絞り込む。性能と効率の二兎を追う、いわば力技の最適化だ。

グループの総合力とメタノールの布石

吉利にはもう一つの技術的な布石がある。李書福(リー・シューフー)会長は、メタノール燃料のエネルギー密度がリチウムイオン電池の10倍以上であると言及し、車両軽量化や輸送効率での優位性を示唆した。吉利はメタノール車の研究を20年以上続けてきた経緯があり、HEV技術との組み合わせによるさらなる展開も視野に入る。

吉利の2026年1〜2月の累計販売台数は47万6,327台、3月単月は約20万6,200台。Volvo、Polestar、Zeekr、Lotusなどを傘下に持つグループの総合力を背景に、ハイブリッド領域でも攻勢を強める。なお、グループ傘下のVolvoは日本で販売網を確立済みであり、Zeekrも欧州展開を加速中だ。吉利のHEV技術がこれらのブランドを通じてどの市場に投入されるかが、2026年後半の焦点になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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