CATL、香港で最大50億ドルの株式売却を検討 – 株価160%上昇の背景
時価総額で世界最大のEVバッテリーメーカーが、さらなる資金調達に動き出した。中国CATLが香港市場で最大50億ドル(約7,300億円)規模の株式売却を検討していると、Bloombergの報道をもとにCnEVPostが4月14日に伝えた。
香港上場後160%の株価急騰、その裏側
CATLは2025年5月に香港市場での取引を開始して以来、株価が約160%上昇している。4月14日には一時、過去最高値となる1株あたり701香港ドルをつけた。終値は682.5香港ドルで、上昇幅の大半を消す展開となったものの、市場の関心の高さを示す値動きだった。
この急騰を支えているのが、堅調な業績だ。CATLが先月発表した2025年通期決算では、純利益が前年比42.28%増の722億元(約106億ドル)に達した。売上高も17.04%増の4,237億元と成長を続けている。株主還元にも積極的で、1株あたり6.957元(10株あたり69.57元)の現金配当を提案。純利益の50%を配当に充てる方針を打ち出した。
50億ドル調達の狙い — 株式か転換社債か
CnEVPostによると、CATLはすでに複数の銀行と予備的な協議を行っている。株式売却に加え、転換社債の発行による資金調達も検討しているという。ただし、協議は進行中で最終決定には至っていない。
50億ドルという調達規模は、2025年の純利益の約半分に相当する。ここで注目されるのが、株式売却と転換社債という2つの手法の違いだ。株価が160%上昇した局面での新株発行は、高い株価で少ない株数で資金を集められる利点がある一方、既存株主にとっては持ち分の希薄化に直結する。一方、転換社債であれば当面の希薄化を回避しつつ資金を確保でき、転換価格を現在の株価より高く設定すれば、さらなる株価上昇を見込んだ形での調達となる。CATLがどちらを選ぶかは、同社が現在の株価水準をどう評価しているかのシグナルにもなる。
巨額の資金の行き先としては、海外生産拠点の拡充が有力だ。ハンガリー工場の建設やインドネシアでのニッケル精錬事業など、グローバル展開を加速させている。日本市場向けでは、CATL Japanがトヨタや日産を含む国内自動車メーカーへのバッテリー供給を拡大しており、50億ドルの調達資金の一部が日本向けサプライチェーンの強化に充てられる可能性もある。
国内シェア争いと次世代電池への投資
中国汽車動力電池産業創新聯盟のデータによると、2025年3月の中国国内における動力電池搭載量は25.71GWhで、CATLのシェアは45.54%だった。ただし、2月の49.10%からは3.56ポイント低下している。2位にはBYDが17.83%のシェアで続く。BYDは自社製バッテリーの外販を拡大しており、CATLとのシェア差は縮小傾向にある。
次世代電池の開発競争も資金需要を押し上げる要因だ。CATLは神行電池(LFP急速充電対応)や麒麟電池(CTP 3.0)を量産化しているが、全固体電池の領域ではトヨタが2027〜28年の実用化を掲げ、日産も同時期の市場投入を計画している。日本勢が全固体電池で先行すれば、液系リチウムイオン電池を主力とするCATLのポジションに影響が及ぶ。今回の大型調達には、全固体電池やナトリウムイオン電池といった次世代技術への研究開発投資を前倒しする意図が読み取れる。
CATLは2025年通期で研究開発費に約200億元を投じた実績がある。50億ドル(約365億元)の追加資金は、この研究開発予算をほぼ倍増させうる規模だ。最終的な調達の規模と手法は今後数週間で明らかになる見通しで、2025年6月の中間決算発表前後が1つの判断時期となりそうだ。
出典
- CATL weighs $5 billion Hong Kong share sale, report says(CnEVPost、2026年4月14日)
- 中国汽車動力電池産業創新聯盟 2025年3月動力電池月次データ
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