中国NEV販売4月前半14%減 – 北京モーターショー前の買い控えとQ1実績を読み解くNEW
38.7万台——4月1日から19日までの中国におけるNEV(新エネルギー車)小売販売台数だ。前年同期比14%減、前月同期比でも5%減。中国乗用車協会(CPCA)が発表したデータは、一見すると中国EV市場の失速を示しているように映る。だが、数字の内訳を丁寧に見ていくと、異なる景色が浮かび上がる。
14%減の中身——NEVより深刻なのはガソリン車
同じ4月1〜19日の乗用車全体の小売販売は62.7万台で、前年同期比26%減。NEVの14%減と比べると、内燃機関車(ICE)の落ち込みのほうがはるかに大きい。実際、この期間のNEV浸透率は61.7%に達した。市場全体が縮んでいるなかで、NEVの相対的な強さはむしろ際立っている。
週次データを見ると、第1週(4月1〜6日)の乗用車日平均販売は2万4,594台で前年比30%減。清明節の連休で営業日が少なかったことが響いた。第2週は3万8,159台(同13%減)と持ち直したが、第3週は再び3万5,742台(同33%減)と大きく落ち込んだ。第3週の急減は、4月下旬に控えた北京モーターショーへの買い控えが本格化したことを示唆している。
卸売データが語るメーカー側の「在庫調整」
小売よりも示唆に富むのが卸売(出荷)データだ。NEVの卸売は41.3万台で前年比17%減、前月比9%減。乗用車全体の卸売19%減と比べてもNEVの減少幅がやや小さいとはいえ、小売の14%減より卸売の17%減のほうが大きいのは意味がある。
CPCAはこの点について、メーカーがディーラーの在庫積み増しを防ぐため、意図的に出荷ペースを落としていると指摘した。つまり需要減に加え、供給側の自主調整が重なった結果だ。卸売の週次推移を見ると、第1週の日平均2万5,392台(前年比28%減)から第3週には5万4,456台(同7%減)へと急回復しており、メーカーの出荷は月後半に集中する傾向が読み取れる。
年初来累計で見えるQ1の構造的減速
年初来の累計ではNEV小売が229.5万台で前年比20%減。乗用車全体も484.8万台で19%減と、ほぼ同水準の落ち込みとなっている。一方、NEV卸売の累計は314.1万台で前年比6%減にとどまる。小売と卸売のギャップが大きいということは、Q1を通じてディーラー在庫が積み上がった可能性を示している。
| 指標 | 4月1-19日 | 前年比 | 年初来累計 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| NEV小売 | 38.7万台 | -14% | 229.5万台 | -20% |
| NEV卸売 | 41.3万台 | -17% | 314.1万台 | -6% |
| 乗用車全体 小売 | 62.7万台 | -26% | 484.8万台 | -19% |
| 乗用車全体 卸売 | 75.6万台 | -19% | 662.2万台 | -8% |
卸売累計の減少幅が小売よりはるかに小さいことから、メーカーはQ1の段階では生産・出荷を大きく絞っていなかったことがわかる。4月に入ってからの卸売抑制は、この在庫水準を適正化するための動きと見てよい。
北京モーターショー後の反動増はあるか
CPCAは買い控えの主因として、北京モーターショー(4月下旬開催)を前にした新技術・新モデル発表ラッシュを挙げた。各メーカーが集中的に新技術イベントを開催しており、消費者が「もう少し待てばもっと良い選択肢が出るのでは」と判断している構図だ。
過去の実績を振り返ると、大型モーターショー後には反動増が発生するケースが多い。2024年の北京モーターショー後には、5月のNEV小売が前月比で約15%増加した実績がある。特にBYDは、ショーでの新車発表と同時にキャンペーンを打つ戦略を採ってきた。NEV浸透率が61.7%まで上昇しているということは、ICEからの乗り換え需要は底堅い。ショー後に各社が新モデルの価格・仕様を正式発表すれば、抑えられていた購買意欲が解放されるだろう。
なお、中国市場での在庫調整はBYDの海外戦略にも波及しうる。日本では2026年に入りSEALION 7の納車が本格化しているが、中国国内の在庫圧力が高まれば、メーカーが輸出配分を増やす判断に傾く余地がある。北京モーターショーでは日本市場向けの新モデル発表があるかどうかも注目点だ。
ただしQ1累計の20%減というマイナス幅は大きく、5月以降の反動だけでこれを取り戻すのは容易ではない。年初来の小売累計と卸売累計の差から推測される在庫水準が適正化されるまで、メーカー側の出荷調整は続くだろう。BYDのような資金力のあるメーカーと、中小のNEVスタートアップとでは、この調整局面での体力差がはっきりつく。Q1のメーカー別販売ではBYDが約96万台でトップを独走し、2位の吉利(約22万台)に4倍以上の差をつけた。資金余力のない中堅以下にとって、在庫調整の長期化は淘汰圧力に直結する。月末に発表される4月の完全データで、BYDが単月30万台ラインを維持できたかどうかが、市場回復の試金石となる。
出典
- China Apr 1-19 NEV retail sales fall 14% as buyers await auto show(CnEVPost)
- 中国乗用車協会(CPCA)公式サイト — 月次・週次販売統計
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