BYD Song Pro DM-i – EV航続301kmのPHEVが約220万円から。RAV4 PHVと何が違うのかNEW
EV航続301km、LiDAR搭載ADAS、価格は約220万円から——。BYDが中国で発売した「Song Pro DM-i フライングエディション」のスペックシートは、日本で売れ筋のPHEVとは別次元の数字が並ぶ。
中国のPHEV市場がどこまで進んでいるのか。日本のユーザーにも馴染み深いトヨタ RAV4 PHVや三菱 アウトランダーPHEVと比較しながら、その実力を検証する。
Song Pro DM-i フライングエディションの概要
BYDが中国市場に投入したSong Pro DM-iの最新バリアント「フライングエディション」は、全長4,735mm×全幅1,860mm×全高1,690mmのコンパクトSUVだ。ホイールベースは2,712mm、5人乗り。15.6インチのフローティングタッチスクリーンを備える。
パワートレインは1.5リッター直列4気筒エンジン(74kW/99ps)に120kW(161ps)の電動モーターを組み合わせたフロント駆動。LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーは26.6kWhと34.27kWhの2種類が用意され、EV航続距離はCLTC基準で220kmまたは301kmとなる。上位グレードの301km仕様は、先代モデルから33.3%のEV航続距離向上を実現した。
ハイブリッド燃費は3.2L/100km。日本式に換算すると約31.3km/Lに相当する。
約220万円からの価格設定と4つのグレード
価格は10万2,900元(約220万円)から13万2,900元(約286万円)まで、4グレード構成。割引前の価格でこの水準だ。
220km航続のエントリーグレード「Leading」が10万2,900元、同航続距離の「Transcend」が11万5,900元。301km航続の「Transcend」は11万8,900元、最上位の「Excellent」が13万2,900元となる。
全グレードにDiSus-C(連続可変ダンピング制御)が標準装備される。ミリ秒単位で減衰力を調整し、ロールを抑制するという。高速走行中のタイヤバースト時に駆動とブレーキを協調制御する安定性制御システムも全車標準だ。
LiDAR搭載ADASがオプションで約21万円
先進運転支援も注目点のひとつ。標準装備の「DiPilot 100(神眼C)」は高速道路でのNOA(Navigate On Autopilot)に対応する。さらに9,900元(約21万円)の追加で「DiPilot 300(神眼B)」にアップグレード可能。LiDARを搭載し、一般道でのNOA機能や300以上の駐車シナリオに対応する。
日本車のPHEVでLiDAR搭載ADASをオプション設定しているモデルは、現時点で存在しない。約21万円という価格も含め、中国市場におけるADASのコモディティ化を示す一例といえる。
RAV4 PHV・アウトランダーPHEVとの比較
では、日本で人気のPHEV2車種と並べるとどうなるか。
| 項目 | BYD Song Pro DM-i | トヨタ RAV4 PHV | 三菱 アウトランダーPHEV |
|---|---|---|---|
| 全長 | 4,735mm | 4,600mm | 4,710mm |
| EV航続距離 | 220〜301km(CLTC) | 約95km(WLTC) | 約87km(WLTC) |
| バッテリー容量 | 26.6〜34.27kWh | 18.1kWh | 20.0kWh |
| エンジン | 1.5L(74kW) | 2.5L(130kW) | 2.4L(98kW) |
| モーター出力 | 120kW(前輪) | 134kW(前)+40kW(後) | 85kW(前)+100kW(後) |
| 駆動方式 | FF | AWD(E-Four) | AWD(ツインモーター) |
| 価格帯 | 約220〜286万円 | 約563〜632万円 | 約530〜650万円 |
| LiDAR ADAS | オプション(約21万円) | 設定なし | 設定なし |
数字の差は歴然としている。EV航続距離はSong Proの301km(CLTC)に対し、RAV4 PHVが約95km、アウトランダーPHEVが約87km。測定基準の違い(CLTCはWLTCより甘い)を考慮しても、Song Proは実質200km以上のEV走行が見込める。バッテリー容量が34.27kWhと、日本勢の約1.7〜1.9倍あるのだから当然の結果だ。
一方で、日本車の強みは明確にある。RAV4 PHVとアウトランダーPHEVはいずれもAWDで、エンジン出力もSong Proより大きい。高速合流や山岳路での動力性能、降雪地域での走破性は日本車に分がある。Song ProはFF(前輪駆動)のみで、エンジンは74kWと非力。あくまで「電気で走るクルマにエンジンを補助的に載せた」設計思想だ。
中国PHEVの現在地
Song Pro DM-iが突きつけるのは、中国PHEVの「量」の力だ。BYDのDM-i技術はLFPバッテリーの大容量搭載を前提に、エンジンを発電機寄りの小排気量に割り切った。バッテリーコストが下がった中国だからこそ成立する構成で、結果としてEV航続300km超のPHEVが約220万円で買える。
ただし、CnEVPostの報道によれば、Song Proの2026年第1四半期の販売台数は3万819台で、前年同期比40.2%減。中国市場でも競争は激しく、BYDとしてもこのフライングエディション投入でテコ入れを図る必要があった。
日本市場にSong Proが導入される予定は現時点でない。ただ、BYD Auto Japanが今後ラインナップにPHEVを加える可能性はゼロではなく、その際にこの価格水準と装備内容がどう調整されるかは気になるところだ。300万円台で301kmのEV航続を持つPHEVが日本に上陸すれば、RAV4 PHVやアウトランダーPHEVのユーザー層に直接刺さる。
Song Pro DM-i フライングエディションは中国で販売中。4グレード、10万2,900〜13万2,900元。
出典
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