NIO ES8が累計10万台に到達 – 7カ月で達成の背景と競合との差
NIO(蔚来汽車)の大型電動SUV「ES8」(第3世代)が、2026年4月23日に累計納車10万台に到達した。納車開始から215日での達成だ(CnEVPost)。同社ユーザーオペレーション責任者の楊波氏は4月20日、中国SNS・Weiboで今週中の到達を予告していた。4月3日時点で9万台を突破しており、月間1万台超のペースが続いていた。
月販1万台超を5カ月連続で維持
第3世代ES8は2025年9月に正式発売された3列シートの純電動SUVだ。価格は40万6,800元(約59,000ドル)から。発売直後から月間納車台数が1万台を超える状態が5カ月連続で続いている。3月には1万6,255台を納車した(単月最高は2025年12月の2万2,276台)。
2026年第1四半期だけで4万5,184台を納車。これはNIOブランド全体の同期間納車台数の54.14%を占める。高価格帯モデルが販売の過半を担うことで、同社の平均販売単価の押し上げと収益構造の改善に直結している。NIO Inc.(NIO・ONVO・Fireflyの3ブランド合計)の2025年通年納車台数は32万6,028台で、前年比46.9%増だった。ES8の貢献が本格化する2026年は、さらなる上積みが見込まれる。
同価格帯の競合モデルとの比較
ES8の10万台という数字は、中国プレミアムEV市場でどの程度のインパクトがあるのか。同価格帯で競合するのはZeekr 009(46万9,000元〜、約68,000ドル)やLi Auto L9(42万9,800元〜、約62,000ドル)だ。ただし、Li Auto L9はレンジエクステンダー(EREV)であり、純電動の3列シートSUVという領域に限ればES8の優位は明確になる。
| モデル | 価格帯 | パワートレイン | 2026年3月納車台数 |
|---|---|---|---|
| NIO ES8 | 40.68万元〜(約59,000ドル) | 純電動(BEV) | 16,255台 |
| Zeekr 009 | 46.90万元〜(約68,000ドル) | 純電動(BEV) | 約3,000〜4,000台 |
| Li Auto L9 | 42.98万元〜(約62,000ドル) | EREV | 約8,000〜9,000台 |
Zeekr 009は月販3,000〜4,000台前後で推移しており、ES8の約4分の1にとどまる。Li Auto L9は根強い人気があるものの、2026年に入ってからはES8が月販台数で上回る月が続いている。累計ベースでもES8は発売約7カ月で10万台に到達し、3列シートの大型EVカテゴリーで頭一つ抜けた存在になりつつある。
販売テコ入れ策とBaaSの実用的価値
NIOは4月も購入インセンティブを継続し、購入税補助として1万元の期間限定補助金を維持している。現行ES8は6人乗りと7人乗りの2構成だが、5人乗りバージョンは2026年7月9日に追加された(CnEVPost)。ファミリー層以外への訴求を狙う。
ES8のような大型SUVにとって、NIO独自のバッテリー交換サービス「BaaS(Battery as a Service)」は実用上の大きな強みになる。100kWh級のバッテリーを急速充電で満充電にするには40分以上かかるが、バッテリー交換なら約5分で完了する。月額料金はバッテリー容量に応じて980〜1,680元(約23,000〜39,000円、1元=約23.5円、2026年10月時点)。車両本体をバッテリー込みより7万元安く購入し、BaaSで月額利用する選択肢もある。中国国内のバッテリー交換ステーション数は2,800カ所を超え、NIOの販売拡大を支えるインフラとして機能している。
ただ、創業者でCEOの李斌氏は第2四半期について「外部環境の圧力がある」と慎重な見方を示している。業界全体が価格競争の激化に直面しているためだ。
ES9とONVO L80が次の焦点
NIOが次の成長ドライバーとして位置づけるのが、フラッグシップSUV「ES9」とサブブランドONVO(楽道)の「L80」だ。ES9は4月9日に予約販売を開始し、価格は52万8,000元(約76,500ドル)からとES8より約12万元(約30%)高い設定。ES8の上位に明確なフラッグシップを置くことで、ブランドの天井を引き上げる狙いがある。
李斌氏は、ES9とONVO L80の新車効果により5月・6月の納車台数は着実に増加するとの見通しを示す。ONVO L80はその後2026年5月15日に発売された。既存モデルL90の改良版は4月21日に発売された。
一方で、NIOは日本市場に進出していない。現在の展開先はノルウェー、ドイツ、オランダなど欧州が中心で、欧州ではバッテリー交換ステーションを約60カ所展開済みだ。ステーションのインフラ投資が先行して必要なビジネスモデルは、新市場への参入障壁を高くしている。日本でBYDが着実に販売網を広げているのとは対照的に、NIOの日本上陸は当面見込みが薄い。
ES9の予約開始後の初期受注がどの程度の規模になるか、そしてONVO L80が20万〜30万元台の量販価格帯でどれだけ台数を積めるか。この2モデルの立ち上がりが、NIOの2026年後半の軌道を左右する。
出典
- Nio to deliver 100,000th revamped ES8 this week as sales momentum holds(CnEVPost)
- Nio ES8 deliveries reach 16,255 in Mar, purchase incentives extended(CnEVPost)
- NIO Inc. Provides December, Fourth Quarter and Full Year 2025 Delivery Update(NIO Inc./SEC)
2026年10月24日: 累計10万台の到達日(2026年4月23日)と、5人乗りES8・ONVO L80の発売日を追記しました。人民元の円換算レートを1元=約23.5円(2026年10月時点)に統一し、換算額を更新しました。




