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トヨタがCATLと提携 – インドネシアでEV電池現地生産へNEW

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トヨタがCATLと提携 – インドネシアでEV電池現地生産へ

トヨタが、ついにCATLと手を組んだ。

インドネシアのトヨタ自動車製造子会社PTトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)は、世界最大の車載バッテリーメーカーであるCATL(寧徳時代)との戦略的パートナーシップを正式発表した。電動車用バッテリーの現地生産強化が目的で、TMMINは1300億ルピア(約11〜12億円)を投資する。Response.jpが報じた。

55年の投資実績とCATL提携の背景

トヨタとインドネシアの関係は深い。過去55年間で累計100兆ルピアを投資し、トヨタブランドだけで1000万台、グループ全体では1400万台を生産してきた。現地サプライヤーや販売店を含め36万人以上の雇用を支える、同国最大級の自動車メーカーだ。

そのトヨタが、バッテリー調達先としてCATLを選んだ意味は大きい。CATLは2024年の世界シェア約37%を握り、LFP(リン酸鉄リチウム)からNMC三元系、さらにはナトリウムイオン電池まで幅広い技術ポートフォリオを持つ。トヨタはこれまでパナソニックやプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)を主要な電池調達先としてきたが、EV本格展開に向けてサプライチェーンの多角化を進めている。

振り返れば、トヨタの電池戦略はここ数年で大きく転換してきた。ハイブリッド時代はパナソニックとの合弁で内製に近い体制を築いていたが、BEVの時代に入り、必要な電池量は桁違いに膨らんだ。2023年にはBYDとの合弁でbZ3を中国市場に投入し、中国系メーカーとの協業に踏み出した。今回のCATL提携は、その流れをさらに加速させるものだ。

インドネシアという立地にも戦略性がある。同国はニッケルの世界最大産出国であり、バッテリーの原材料調達から製造までを一貫して行える。上流から下流まで電動車産業のエコシステムを構築するというインドネシア政府の国家目標とも合致する。CATL側にとっても、ドイツ・ハンガリーに続く海外生産拠点の拡充であり、東南アジア市場への供給体制を固める一手となる。トヨタとCATLの双方にとって、地政学的にも合理的な選択といえる。

トヨタ次世代BEVは250万円台になるか

気になるのは、この提携が日本市場にどう影響するかだ。

トヨタは2026年に次世代BEVの投入を予定している。現行のbZ4Xはパナソニック系の電池を搭載しているが、次世代モデルでは調達先の多様化が進む可能性が高い。CATLのLFPセルが採用されれば、車両価格の引き下げに直結する。LFPはコバルトを使わないため原材料コストが低く、サイクル寿命も3,000回以上と耐久性に優れる。エネルギー密度ではNMCに劣るが、日常使いの航続距離なら十分カバーできる水準だ。

現在、日本のBEV市場は新車販売の約3.5%にとどまる。価格がネックになっている面は否めない。補助金を含めても300万円台後半からという価格帯は、軽自動車中心の日本市場では手が届きにくい。CATLのLFP電池を活用したトヨタ製BEVが250万〜300万円台で登場すれば、市場の景色は変わりうる。

競合との距離は縮まるか

BYDはすでにLFP技術を武器に日本市場で攻勢をかけている。ATTO 3やDOLPHINなど、補助金適用後の実質価格で300万円前後のモデルを展開中だ。トヨタがCATL製LFPを採用すれば、電池のコスト構造ではBYDに近づくことになる。ただし、CATLから調達するトヨタと、自社でBlade Batteryを内製するBYDとでは、コスト競争力に差が残る。電池の内製化率はEVの価格競争において決定的な要素であり、その差は簡単には埋まらない。

一方、日産は全固体電池の2028年量産を目標に掲げ、ホンダは独自路線でのEV開発を進める。各社のアプローチが分かれるなかで、トヨタはCATLという「外部の最大手」と組むことで、量産スピードとコストの両面で先手を打とうとしている。

1300億ルピアという投資額自体は、トヨタの規模からすれば小さい。だが、中国系電池メーカーとの本格協業という方向性は、日本の自動車産業全体の調達構造を揺さぶる。トヨタが2026年後半に予定する次世代BEVの仕様——とりわけ電池セルの調達先と価格帯——が、その答えを示すことになる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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