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BYD新型Han – 第2世代ブレードバッテリーと超急速充電の全貌NEW

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BYD: BYD新型Han – 第2世代ブレードバッテリーと超急速充電の全貌
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10%から97%まで9分——BYDが改良版Han EVセダンに搭載した充電性能の数値は、EVのエネルギー補給に対する常識を大きく変える可能性がある。中国のディーラーに投入されたこのモデルは、新開発の「Blade 2.0」バッテリーとフラッシュチャージング技術を組み合わせ、航続距離と充電速度の両面で大幅な進化を遂げている。

Blade 2.0が実現する705kmの航続距離

改良版Hanの心臓部となるのは、容量69.07kWhのBlade 2.0 LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーパックだ。CLTC基準で705kmの航続距離を実現する。BYDは2003年の自動車事業参入以前から電池メーカーとして事業を展開しており、2020年に発表した初代ブレードバッテリーでは刀片状のセル配置とCTP(Cell to Pack)構造により体積効率を飛躍的に高めた。第2世代となるBlade 2.0では、その設計思想を継承しつつエネルギー密度そのものが引き上げられた形になる。

LFPはコバルトを使わない低コスト・高安全性の正極材として知られ、サイクル寿命は3,000回以上。エネルギー密度ではNMC(三元系)に劣るとされてきたが、Blade 2.0は69kWh台のパックで700km超を達成しており、LFPの弱点とされてきた密度の壁を着実に押し上げている。電池の開発・製造・車両組立までを自社で手がけるBYDの垂直統合体制が、このペースの技術改良を支えている。

平均400kW超の充電出力、極寒でも実用的

今回のHanで最もインパクトが大きいのは、フラッシュチャージングへの対応だろう。CarNewsChinaの報道によると、BYDが公表した充電性能は以下の通りだ。

充電条件 所要時間
10%→70% 5分
10%→97% 9分
-30℃環境(10%→97%) 約12分

9分で10%から97%という数値から逆算すると、平均充電出力はおよそ400kWに達する。ピーク出力はそれ以上と見られる。現行の800Vアーキテクチャを採用するEVでも10%から80%で18〜25分が一般的なことを考えると、世代が一つ飛んだ感がある。

極寒性能も見逃せない。-30℃の環境下でもわずか3分増の約12分で97%まで充電できるとBYDは主張する。リチウムイオン電池は低温で内部抵抗が上がり充電速度が大幅に低下するのが通例で、この数値が実環境で再現されるなら、寒冷地でのEV普及における大きな障壁が一つ取り除かれることになる。

パワートレインと車体の刷新ポイント

改良版Hanは全長4,995mm、全幅1,910mm、全高1,495mm、ホイールベース2,920mmのDセグメントセダン。フロントモーターは150kW(201hp)、168kW(225hp)、170kW(228hp)の3種が用意され、全車FWDとなる。車重は1,920〜2,000kg。

足回りはフロントにマクファーソンストラット、リアに5アームマルチリンクを採用し、アクティブサスペンションを全グレードで標準装備する。運転支援にはDiPilot(God’s Eye)を搭載するが、LiDARは非搭載。既存モデルにはLiDAR付きのDiPilot 300も存在するため、改良版はビジョンベースのDiPilot 100相当の構成と見られる。価格は約20万元(約430万円)前後と予想されている。

充電インフラ整備とライバルとの競争

超急速充電はバッテリー側の対応だけでは成立しない。BYDは2026年4月初旬時点でメガワットクラスのフラッシュチャージャーを5,000基設置済みで、年末までに2万基へ拡大する計画を掲げている。この充電器にはBlade電池4基(合計169または185kWh)がグリッドバッファとして内蔵されており、電力系統からの受電は公称100kWに抑えられる。大出力充電のインフラ課題である受電容量の問題を、蓄電池で吸収する設計だ。

BYDのフラッシュチャージング攻勢は、Hanだけにとどまらない。4月だけでDenza N8L、Atto 3、Seal 06 GT、さらにPHEVのSeal 06 DM-iワゴンにもフラッシュチャージング対応版を投入しており、ラインナップ全体への展開を急ピッチで進めている。

競合も黙ってはいない。Geely傘下のLynk & Coは900Vの「Energee Golden Brick」バッテリーで10%から97%を8分42秒と、BYDより18秒速いと主張している。ただし商用化時期は未公表で、量産車への実装という点ではBYDが先行している。NIOのバッテリースワップ方式(約3分で交換完了)とは異なるアプローチだが、2万基規模のインフラが実現すれば、中国国内の充電ネットワークで圧倒的な規模の優位を築くことになる。

なお、Hanは現時点で日本には導入されていない。日本ではBYDがATTO 3、DOLPHIN、SEALの3車種を展開中だが、急速充電規格はCHAdeMOであり、今回のフラッシュチャージングとは規格・出力レベルが大きく異なる。Blade 2.0の技術が日本投入モデルに波及するかどうかは、今後のラインナップ拡充次第となる。

改良版Hanの価格は近日中に正式発表される見込み。2026年3月の国内販売台数が3,661台とピーク時から落ち込んでいたHanにとって、Blade 2.0の充電性能が価格に見合うかどうかが、販売回復の分かれ目になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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