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吉利i-HEV発表 – 熱効率48.41%のHV技術でトヨタ・ホンダに挑む

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中国EV: 吉利i-HEV発表 – 熱効率48.41%のHV技術でトヨタ・ホンダに挑む
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熱効率48.41%——量産エンジンとしては世界最高記録とされる数値だ。中国・吉利汽車(Geely)が発表した次世代ハイブリッド技術「i-HEV」のスペックである。トヨタのTHS、ホンダのe:HEVが長年支配してきたHEV(ハイブリッド車)市場に、中国勢が本格的に切り込み始めた。

吉利i-HEVの技術的特徴

吉利が公開した次世代i-HEVは、「星叡AIクラウドパワー2.0」と名付けられた専用ハイブリッドエンジンを核とする。最大の売りは48.41%の熱効率だ。参考までに、トヨタが第5世代THSで達成した熱効率は最大41%程度(トヨタ公式ニュースルーム)、ホンダのe:HEV用エンジンも41%前後(Honda技術情報)とされる。数字上、吉利は日本勢を大きく上回っている。

電動駆動の最大出力は230kWに達し、従来型HEVの同クラス技術と比べて1.72倍。エンジンの稼働時間を従来比27%削減し、WLTC燃費は3.98L/100km(リッター約25.1km)を実現した。まず「中国星」シリーズのフラッグシップモデル「星瑞」「星越L」に搭載される。

トヨタTHS・ホンダe:HEVとの比較

では、日本メーカーの主力ハイブリッドシステムと具体的にどう違うのか。各社公表データをもとに整理する。なお、トヨタ・ホンダ側の数値は各社の日本向けカタログスペックおよびプレスリリースに基づく。

項目 吉利 i-HEV(次世代) トヨタ THS II(第5世代) ホンダ e:HEV
エンジン熱効率 48.41% 約41% 約41%
電動駆動最大出力 230kW 約135kW(カムリ) 約135kW(アコード)
燃費(WLTC) 3.98L/100km 約4.3L/100km(カムリ) 約4.2L/100km(アコード)
スマート機能 DeepSeek大規模モデル統合・Huawei連携 Toyota Safety Sense Honda SENSING
E/Eアーキテクチャ GEEA 3.0

燃費と熱効率で吉利がリードしている点は明確だ。ただし、これはメーカー公表値であり、実走行での差がどの程度になるかは現時点で検証できない。トヨタTHSはプリウス登場以来約30年の量産実績があり、10万km超の走行でもカタログ値に近い実燃費を維持するオーナー報告が多い。ホンダe:HEVもモーター主体の走りで高い評価を得ている。吉利i-HEVが同等の耐久性を証明するには、少なくとも数年の市場データが必要だ。

もっとも、熱効率の数字がそのまま商品力に直結するわけではない。日本メーカーのHVが支持されてきた理由は、燃費だけでなく、静粛性、乗り心地、そして「壊れない」信頼性にある。吉利i-HEVの実力は、実車投入後のユーザー評価で明らかになる。

なぜ今、中国メーカーがHEVに本腰を入れるのか

背景には中国独自の制度がある。中国ではHEVはNEV(新エネルギー車)に分類されない。補助金や購入税免除の対象外で、ナンバープレートの優遇も受けられない。そのため中国メーカーはBEVやPHEVに注力し、HEV市場はトヨタやホンダの独壇場だった。中国乗用車市場におけるHEV販売の過半数を日系メーカーが占めてきた。

風向きが変わったのは、PHEV・BEV技術で蓄積したモーターや電池制御のノウハウを、HEVに転用できる段階に達したからだ。BYDはすでにDM-i技術でPHEV市場を席巻しており、その延長線上でHEV領域にも技術が波及し始めている。吉利のi-HEVは、GEEA 3.0電子電気アーキテクチャやAIデジタルシャシーなど、BEV開発で培った技術を投入している。DeepSeekの大規模言語モデルをスマートキャビンに統合し、Huaweiスマートフォンとの連携機能も備える。ハイブリッド車にここまでのソフトウェア機能を載せてくるのは、日本メーカーにはない発想だ。

吉利グループはVolvoやPolestarを傘下に持ち、欧州の安全技術・設計ノウハウと中国のソフトウェア・電動化技術を組み合わせる戦略を取ってきた。i-HEVはその技術統合の成果でもある。

吉利i-HEV、星瑞に搭載し2026年内に中国発売へ

吉利の星瑞i-HEVは2026年中に中国国内で発売される。価格帯は未公表だが、中国市場でのHEV価格競争が激化するのは確実で、トヨタ・ホンダの中国販売戦略にも影響を与える。BYDのDM-iがPHEVで価格破壊を起こしたように、吉利i-HEVがHEV領域で同様の価格圧力をかける可能性がある。

日本国内市場への直接的な波及は現時点では限定的だ。吉利ブランドは日本未導入であり、i-HEVの日本投入も発表されていない。ただし、傘下のVolvo経由でのHEV技術展開や、日本メーカーが中国市場でのシェア防衛を迫られることで国内向けHEVの価格・仕様戦略に間接的な影響が及ぶ可能性はある。星瑞i-HEVの中国での販売実績が、今後のHEV市場の勢力図を左右する。

出典

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BLADE NOTE編集部
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