新型BYD ATTO 3発表へ – フラッシュチャージ搭載で日本市場の勢力図は変わるか
5分で10%から70%まで充電——BYDが次世代ATTO 3(中国名:元Plus)に搭載するフラッシュチャージ技術は、EVの「充電が遅い」という不満を根本から覆す数字だ。2026年4月24日開幕の北京モーターショーで正式デビューするこのモデルは、現行型から大幅に進化したスペックを引っ提げて登場する。
現行ATTO 3から何が変わったのか
新型ATTO 3は「第3世代」と位置づけられ、プラットフォームからの刷新となる。ボディサイズは4665×1895×1675mmで、現行型と比べて全長が210mm、全幅が20mm、全高が60mm拡大。ホイールベースも50mm延長されて2770mmとなり、後席の居住性向上が見込まれる。駆動方式は現行型のFFからRWD(後輪駆動)に変更された。
バッテリーはBYD子会社のFinDreams製LFP(リン酸鉄リチウム)を継続採用しつつ、2つの容量を用意。エントリーグレードが57.545kWhで航続540km、上位グレードが68.547kWhで航続630kmとなる。現行の日本仕様ATTO 3の航続距離がWLTCで470kmであることを考えると、エントリーでも70km、上位では160kmもの上乗せだ。
モーター出力も大幅に引き上げられた。エントリーが200kW(268馬力)、上位が240kW(322馬力)。現行日本仕様の150kW(204馬力)から一気にパワーアップしている。
| 項目 | 現行ATTO 3(日本仕様) | 新型ATTO 3(57.5kWh) | 新型ATTO 3(68.5kWh) |
|---|---|---|---|
| 駆動方式 | FF | RWD | RWD |
| バッテリー容量 | 58.56kWh | 57.545kWh | 68.547kWh |
| 航続距離 | 470km(WLTC) | 540km(CLTC) | 630km(CLTC) |
| 最高出力 | 150kW | 200kW | 240kW |
| ホイールベース | 2720mm | 2770mm | 2770mm |
| フラッシュチャージ | 非対応 | 対応 | 対応 |
※新型の航続距離はCLTC基準のため、WLTC換算では1〜2割短くなる可能性がある。
フラッシュチャージの実力
新型ATTO 3最大の目玉が、BYDが公式に明らかにしたフラッシュチャージ対応だ。10%→70%がわずか5分、10%→97%でも約9分。マイナス30℃の極低温環境でも充電時間の増加はわずか3分にとどまるという。
日本国内の急速充電器はCHAdeMO規格が主流で、現状では最大出力90kW〜150kW程度の機器が中心。フラッシュチャージの性能をフルに引き出すには、充電インフラ側のアップグレードが前提となる。とはいえ、対応する高出力充電器が整備されれば「コーヒーを買っている間に充電完了」という体験が現実味を帯びてくる。
日産サクラ・トヨタbZ4Xとの立ち位置
新型ATTO 3が日本に導入された場合、価格帯でどこに位置するかが焦点になる。現行ATTO 3の日本価格は418万円(CEV補助金適用前)。補助金65万円を差し引くと実質353万円だ。
同じBEV市場で売れ筋の日産サクラは補助金込みで実質150万円台からと、そもそも競合するセグメントではない。サクラは軽自動車規格でセカンドカー需要が中心。一方、ATTO 3はCセグメントSUVとしてファーストカーの代替を狙う。
より直接的な比較対象はトヨタbZ4Xだろう。bZ4Xは550〜650万円の価格帯で航続約500km(WLTC)。新型ATTO 3が現行と同等の400万円台前半で投入されれば、航続距離・充電速度・価格のいずれでも優位に立つ可能性がある。
| 項目 | 新型ATTO 3(想定) | トヨタ bZ4X | 日産サクラ |
|---|---|---|---|
| セグメント | CセグSUV | CセグSUV | 軽EV |
| 価格帯(税込) | 400〜520万円台? | 550〜650万円 | 254〜304万円 |
| CEV補助金後 | 350〜470万円台? | 485〜585万円 | 実質150万円台〜 |
| 航続距離 | 470〜550km?(WLTC換算推定) | 約500km | 180km |
| 超急速充電 | フラッシュチャージ対応 | 150kW対応 | 非対応 |
※新型ATTO 3の日本価格は未発表。現行価格と新型のスペック向上幅から推定した参考値。
中国での販売不振と世代交代の狙い
BYDがATTO 3のフルモデルチェンジを急ぐ背景には、中国国内での販売急減がある。China EV DataTrackerによると、2026年第1四半期のATTO 3(元Plus)の中国販売台数は1万675台で、前年同期比73.2%の大幅減。競争激化とBYD自身のラインナップ再編が重なり、2024年第3四半期から販売は右肩下がりだった。
なお、現在中国国外で販売されている「ATTO 3 Evo」は、パワートレインの改良やAWD、内装の刷新が施されているものの、基本設計は現行型ベース。今回の新型とは別物だ。北京モーターショーでお披露目される第3世代モデルは、まず中国市場向けに投入され、日本を含む海外展開の時期は現時点で未定となる。
BYDは日本市場で2025年にRACCOを投入し、300万円台前半の価格帯で攻勢を強めている。新型ATTO 3が日本に上陸するタイミング次第では、DOLPHIN・RACCO・ATTO 3・SEALと、300万円台から600万円台までをBEVで隙間なくカバーする布陣が完成する。北京モーターショーでの正式発表は4月24日の予定だ。
出典
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