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積載1万800台 – 中国が世界最大の自動車運搬船を竣工、韓国HMMに引き渡しNEW

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積載1万800台 – 中国が世界最大の自動車運搬船を竣工、韓国HMMに引き渡し

積載台数1万800台——。中国の造船所が建造した世界最大の自動車運搬船が、韓国の海運大手HMMに引き渡された。中国のEV輸出が急拡大するなか、それを「運ぶ力」もまた記録を更新し続けている。

全長230m、14層の車両デッキ

CnEVPostの報道によると、広州船舶国際(GSI)が建造したこの自動車運搬船は4月22日、広州南沙で韓国HMMに引き渡された。中国国営の新華社通信も同日付で竣工を報じている。設計は中国船舶集団(CSSC)傘下の上海船舶設計研究院が担当した。

船体の全長は230m、幅40m。喫水は10.5mで、設計速度は19ノット。LNG・燃料油のデュアルフューエル推進システムを搭載し、国際海事機関(IMO)のTier III排出基準に適合する。船内には14層の車両デッキがあり、EVや水素自動車、大型トラックまで柔軟に積載できる構造だ。

標準的な全長5mの乗用車で換算すると、満載時の車両を一列に並べた場合の全長は50kmを超えるという。

BYDも自社船団を急拡大中

この「世界最大」の記録は、わずか数カ月で塗り替えられた形になる。2025年4月にはBYDが自社運搬船「BYD Shenzhen」を就航させており、当時は9,200台の積載能力で世界最大だった。BYDはこのほかにも同規模の「BYD Changsha」「BYD Xi’an」を保有しており、自社船団だけで計2万7,600台分の海上輸送力を確保している。

中国の自動車メーカーが自前の運搬船を持つ背景には、既存の海運会社の船腹が逼迫していた事情がある。中国からのEV輸出が急増した2023年以降、自動車運搬船の傭船料は高騰し、船の確保自体が困難になった。BYDのように販売台数の大きいメーカーにとって、物流を他社に依存するリスクは看過できない規模に膨らんでいた。

BYD以外にも、上汽集団(SAIC)は国有海運の中遠海運(COSCO)と長期契約を結び、奇瑞汽車(Chery)は安徽省の蕪湖港を拠点にロールオン・ロールオフ船の専用バースを整備するなど、各社が独自の輸送ルート確保に動いている。

造船と自動車輸出の「二重の成長」

今回の竣工が象徴するのは、中国の造船業とEV産業が連動して拡大している構図だ。中国は2023年に韓国を抜いて世界最大の造船国となり、2025年の新規受注量では世界シェアの約7割を占めた。自動車運搬船という高付加価値セグメントでも存在感を強めており、GSIのような国営造船所がその中核を担う。

引き渡し先が韓国のHMMである点にも注目したい。韓国は長年、造船業で世界をリードしてきたが、自動車運搬船の建造では中国勢が急速にシェアを伸ばしている。自国の海運会社が中国製の運搬船を発注するという構図は、東アジアの産業地図の変化を端的に示している。

日本の港にも大型船が来る時代

日本にとって、この動きは対岸の話ではない。BYDは日本市場でRACCO、DOLPHIN、SEAL、ATTO 3、SEALIONなど複数車種を展開しており、今後も販売拡大を見込む。大型運搬船の就航は1回あたりの輸送コストを下げ、価格競争力の強化に直結する。

また、中国製運搬船がLNGデュアルフューエルなど環境対応技術を標準装備している点は、国際的な海運規制の強化とも合致する。従来型の重油専焼船では将来的に港湾での規制対象になる可能性があり、新造船の環境性能は長期的な物流コストにも影響する。

1万800台という数字は、単なる記録更新にとどまらない。中国が「作る」だけでなく「運ぶ」インフラまで自前で整備し始めたことで、EV輸出の構造そのものが変わりつつある。HMMが投入する航路は明らかにされていないが、欧州向けや東南アジア向けに加え、日本を含む東アジア域内航路での運用も十分に考えられる。日本の港に1万台超を積んだ巨大運搬船が入港する日は、そう遠くないかもしれない。

出典

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BLADE NOTE編集部
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