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Denza D9が第2世代に刷新 – 日本のアルファードと電動MPV市場を比較するNEW

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Denza D9が第2世代に刷新 – 日本のアルファードと電動MPV市場を比較する

5分で10%から70%まで充電できるMPV——BYDのプレミアムブランド「Denza(テンザ/騰勢)」が、主力ミニバン「D9」の第2世代モデルを中国で正式発売したとCnEVPostが報じた。価格は35万9,800元(約528万円)から。BEV(純電動)とPHEV(プラグインハイブリッド)の2パワートレインで計6グレードを展開し、5月中旬から納車を開始する。

第2世代D9の進化ポイント

最大のアップデートは、BYD第2世代ブレードバッテリーと新開発の「フラッシュチャージ」技術の採用だ。バッテリー残量10%から70%までわずか5分という超急速充電を実現した。BEV仕様の航続距離は最大800km、PHEV仕様でも純電動走行401kmを確保し、満タン・満充電なら1,521kmを走破できる。

ボディサイズは全長5,250mm×全幅1,960mm×全高1,900mm、ホイールベース3,110mm。初代のプロポーションを踏襲しつつ、足回りにはBYD最新の電子制御サスペンション「DiSus-C」を投入した。ADAS(先進運転支援)は3基の高精度LiDARを搭載した「God’s Eye 5.0」にアップグレードされている。

PHEV仕様は1.5Lターボエンジン(115kW/154馬力)にフロント200kW+リア45kWのモーターを組み合わせ、0-100km/h加速7.3秒。BEV仕様はフロント340kWモーター、四駆モデルはリア70kWモーターを追加する。室内には最大10枚の独立ディスプレイを装備し、15.6インチのセンターモニターと後席専用エンタメスクリーンで乗員全員の快適性を追求した。

アルファードとの比較で見える「電動MPV」の現在地

日本のミニバン市場ではトヨタ・アルファード/ヴェルファイアが圧倒的な存在感を持つ。2024年にフルモデルチェンジした新型アルファードはハイブリッド仕様で約620万円から。全長4,995mm×全幅1,850mmとD9より一回り小さいが、国内の道路事情に最適化されたサイズ感が支持されている。

項目 Denza D9 BEV(中国) Denza D9 PHEV(中国) アルファード HEV(日本)
価格 約542万〜689万円 約528万〜674万円 約620万〜872万円
全長 5,250mm 5,250mm 4,995mm
全幅 1,960mm 1,960mm 1,850mm
航続距離 750〜800km EV401km/総合1,521km (HEV燃費 17.7km/L)
パワートレイン BEV PHEV HEV
ADAS LiDAR×3搭載 LiDAR×3搭載 Toyota Safety Sense

※D9の円換算は1元=約14.7円(2026年4月時点)で算出。為替変動により実際の価格は変わりうる。

価格帯だけを見れば、D9はアルファードと直接競合するレンジにある。ただし全幅1,960mmは日本の立体駐車場の制限幅(多くが1,850mm以下)を超えており、そのまま持ち込んだ場合の使い勝手には課題が残る。一方で装備面を価格あたりで比較すると、D9はLiDAR搭載ADASや超急速充電、10枚の独立ディスプレイなど、同価格帯のアルファードでは選択できない装備を標準で備えている。充電インフラの整備状況という前提条件はあるものの、5分充電で航続60%を回復できるD9と、給油3分で満タンにできるアルファードHEVでは、長距離移動時の補給体験が根本的に異なる。現時点では給油の手軽さに分があるが、急速充電器の設置が進めばその差は縮まる。

中国で「売れている」電動ミニバンの実力

初代D9は2022年の発売以降、中国の新エネルギーMPVセグメントで販売トップクラスを維持してきた。月販1万台を超える月もあり、グローバルで見ても電動ミニバンとしては異例の数字だ。中国ではミニバン需要が「ビジネス送迎用」から「家族のプレミアムカー」へと変化しており、D9はその転換を象徴する1台となっている。

Denzaはもともと2010年にBYDとダイムラー(現メルセデス・ベンツ)の合弁で設立されたブランド。2022年にBYDが完全子会社化し、プレミアム路線を鮮明にした。D9はそのリブランド後の第1弾として投入され、ブランドの柱に成長した経緯がある。

BYDの海外MPV展開と日本市場の可能性

BYD Auto Japanの現行ラインナップにミニバンはない。ATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7と展開してきたが、いずれもSUVかセダン、コンパクトカーだ。2025年秋にはコンパクトSUVのRACCOが控えているものの、MPVカテゴリへの参入はアナウンスされていない。

一方、BYDはD9をすでに東南アジア複数国(タイ、インドネシア、マレーシアなど)や中東、中南米で販売しており、右ハンドル仕様もタイ・オーストラリア向けに展開実績がある。技術的には日本向けローカライズのハードルは低い。日本はミニバン大国で、登録車販売の約2割をミニバンが占める。アルファードは受注から納車まで1年以上待ちの状態が続いており、プレミアムミニバンの供給は慢性的に不足している。全幅1,960mmを日本の駐車場事情に合わせて1,850mm前後にダウンサイジングできるかが、参入の現実性を左右する最大の要素になる。

第2世代D9の投入でDenzaは中国国内のMPV首位を固めにかかる。5分充電・航続800kmというスペックは、ミニバンに求められる「長距離を家族で快適に移動する」というニーズに対する一つの回答だ。初代D9は累計販売20万台超を達成しており、第2世代がこの勢いを維持できれば、BYDが海外MPV展開をさらに加速させる根拠になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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