Leapmotor、2027年に高級ブランド新設へ – 中国EVメーカーのマルチブランド戦略が加速
1台あたりの純利益わずか905元(約1万9000円)——コスパ路線で急成長したLeapmotor(零跑汽車)が、収益構造の転換に動き出した。CnEVPostが報じた中国メディアLatePostの報道によると、同社は2027年に30万元(約640万円)以上の価格帯を狙う新ブランドを立ち上げる計画だという。
黒字化の裏にある収益課題
Leapmotorは2025年に59万6555台を販売し、前年比103.1%増の成長を記録した。純利益は5億4000万元(約115億円)に達し、Li Auto(理想汽車)に続いて中国の新興EVメーカーとして2社目の通年黒字化を果たしている。
ただし、その中身を見ると楽観はできない。全モデルの加重平均販売価格は約12万5000元(約267万円)にとどまり、経費を差し引いた1台あたりの純利益はわずか905元。昨年の黒字は炭素クレジットの売却収入に大きく依存していた。2026年の目標として年間販売100万台、純利益50億元を掲げる同社にとって、高価格帯への進出は避けて通れない道だ。
既存ブランドでは届かない30万元の壁
新ブランドは完全に独立した販売網を構築する方針とされる。LatePostが複数の独立した情報源から得た内容で、Leapmotor側はコメントを控えている。
現行のLeapmotorブランドは、C10やT03といったコストパフォーマンス重視のラインナップで知られる。この「お値打ち感」こそが武器だったが、裏を返せば30万元超の価格設定を正当化するブランドイメージが不足しているということでもある。新型SUV「D19」の実勢価格が25万元以上に集中しているとはいえ、既存ブランドの延長線上で高級路線を成立させるのは難しい。別ブランドを立てるのは合理的な判断といえる。
中国EVメーカーに広がるマルチブランド戦略
こうした動きはLeapmotorに限った話ではない。中国のEVメーカーの間では、マルチブランド戦略がすでに定石になりつつある。
BYDは早くからこの路線を推進してきた。オフロード志向の「方程豹(Fangchengbao)」、プレミアムセグメントの「Denza(騰勢)」、さらに超高級路線の「仰望(Yangwang)」と、価格帯ごとにブランドを分けて展開している。NIO(蔚来汽車)も同様で、大衆向けの「ONVO(楽道)」と小型車の「firefly(螢火蟲)」をサブブランドとして立ち上げ、本体のプレミアム路線との棲み分けを図る。Geelyグループに至っては、Volvo、Polestar、Zeekr、Lotus、Lynk & Coと、買収も含めた多層的なブランドポートフォリオを構築済みだ。
各社がマルチブランド化に動く背景には、中国EV市場の競争激化がある。単一ブランドでは価格帯の上下どちらにも伸ばしにくく、異なる顧客層を取りこぼす。ブランドを分けることで、既存顧客のイメージを壊さずに新たなセグメントへ参入できる。
Stellantis提携と日本市場への波及
Leapmotorの高級路線において、Stellantisとの資本提携は大きな武器になり得る。Stellantisは20%の出資を通じてLeapmotorと戦略的パートナーシップを結んでおり、欧州を中心にLeapmotor車の販売を自社の販路で展開している。現在、Leapmotorの海外販売比率は全体の36%超に達し、長期的には60%まで引き上げる目標を掲げる。
CnEVPostの報道では、MaseratiやAlfa Romeoといったラグジュアリーブランドを運営してきたStellantisの知見が、Leapmotorの高級チャネル構築やサービス体制の整備に活かせる可能性が指摘されている。コスパメーカーが短期間でプレミアムブランドを確立するのは容易ではないが、提携先の資産を活用できる点はBYDやNIOにはないLeapmotor独自のカードだ。
日本市場にとっても無関係な話ではない。StellantisはJeepやプジョー、シトロエンなど日本で販売網を持つブランドを多数抱えており、将来的にLeapmotor車が同じ販路を通じて日本に入ってくる可能性は否定できない。すでにBYDがATTO 3、DOLPHIN、SEALの3車種で日本市場に参入し、2025年には販売台数を着実に伸ばしている。中国EVメーカーの日本進出が進む中、Leapmotorがコスパ路線で参入すればBYDの直接的な競合になり、高級ブランドで参入すれば輸入EV市場の構図がさらに変わることになる。
ただし課題も多い。同報道が引用する業界アナリストからは「新ブランドの育成には時間とリソースが必要で、現時点で市場にLeapmotorのセカンドブランドへの期待感はない」との指摘が出ている。足元のA10やD19が社内想定を大幅に上回る受注を集めていることは追い風だが、30万元超の市場にはBYD Denza、NIO、Zeekrといった先行者がひしめく。後発参入のハードルは高い。
新ブランドの具体的な車種や投入時期の詳細は明らかになっていない。30万元超のEV市場ではBYD Denzaが2025年に約18万台を販売し存在感を示しており、Leapmotorが差別化のために何を打ち出すのか——Stellantis提携の具体的な活用策と合わせて、続報を待ちたい。
出典
- Leapmotor reportedly plans second brand for higher-end EV market(CnEVPost、2026年4月28日)
- LatePost / 36Kr(原報道)
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