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Dreame全固体電池450Wh/kgの実力 – 家電メーカー発ハイパーカーの技術を検証NEW

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Dreame全固体電池450Wh/kgの実力 – 家電メーカー発ハイパーカーの技術を検証

450Wh/kg——現行のリチウムイオン電池の約1.5〜2倍にあたるエネルギー密度を、中国の家電メーカーが自社開発のハイパーカーに載せてきた。掃除機やドライヤーで知られるDreame Technology(追覲科技)が、シリコンバレーで開催した「Dreame Next」イベントで初の自動車「Nebula Next 01 Jet Edition」を発表した。

掃除機メーカーがハイパーカーを作る理由

Dreameは2017年創業の中国企業で、ロボット掃除機やヘアドライヤーなどスマート家電を主力とする。自動車業界とは無縁に見えるが、昨年8月にブガッティ・シロンの速度記録に挑戦できるクルマを開発すると宣言していた。今回発表されたNebula Next 01 Jet Editionは、その答えだ。

最大の話題は、デュアル固体ロケットブースターを搭載し、0-100km/h加速0.9秒を謳う点。応答時間150ミリ秒、最大推力100キロニュートンという航空宇宙由来のスペックを民生用に転用したと同社は説明する。ただし、ロケットブースターを公道で使えるのかという根本的な疑問は残る。

硫化物系全固体電池 – 450Wh/kgの意味

パワートレイン以上に業界の関心を集めるのが、搭載する全固体電池の仕様だ。硫化物系の全固体電池で、エネルギー密度は450Wh/kgを超えるとDreameは主張する。CLTC航続距離は550km以上。

この数字を既存技術と比較してみる。現在主流のLFP(リン酸鉄リチウム)電池は160〜180Wh/kg程度。BYDのBlade Batteryもこの範囲に収まる。ハイニッケル系のNMC電池でも250〜300Wh/kgが上限だ。450Wh/kgは、トヨタが2027〜28年の実用化を目指す全固体電池の目標値とほぼ同等か、それを上回る水準になる。

電池タイプ エネルギー密度 代表例
LFP 160〜180Wh/kg BYD Blade Battery
NMC(三元系) 250〜300Wh/kg 各社ハイニッケルセル
全固体(トヨタ目標) 400Wh/kg超 2027-28年実用化予定
全固体(Dreame公称) 450Wh/kg超 Nebula Next 01搭載

問題は「量産準備段階」という表現だ。全固体電池は世界中のメーカーが開発を進めているが、量産コストと製造歩留まりが最大のボトルネック。日産も2028年の量産開始に向けてパイロット工場を建設中だが、まだ道半ばの段階にある。家電メーカーが先行して量産体制を確立できるのか、具体的なタイムラインは示されていない。

自動運転とLiDAR – 4,320ラインの実力

Nebula Next 01には、DHX1と呼ばれる独自LiDARが搭載される。4,320ラインでフル4Kカラー対応。最大検出距離600m、反射率10%の物体を400mで認識し、交通コーンは300m、小動物は280mで検知するという。

自動運転はVLA(Vision-Language-Action)大規模モデルをベースにした3システム構成を採用。濃霧、山道、工事現場といった極限環境でテスト済みと説明する。ステアバイワイヤは14自由度の非線形協調制御に対応し、応答時間は1ミリ秒以内。横向き駐車やピボットターン、パンク時の安定制御が可能としている。

スタンフォード大学教授で「自動運転の父」と称されるセバスチャン・スラン氏もイベントに出席し、「航空宇宙技術、AI、自動車産業の深い統合は、インテリジェントモビリティの将来に新しいアイデアを提供する可能性がある」とコメントした。

スペックと現実のギャップをどう見るか

率直に言えば、スペックシートは華々しい。0.9秒の加速、450Wh/kgの電池、4,320ラインのLiDAR。どれも業界トップクラスどころか、既存の量産車を大幅に上回る数値だ。

だが冷静に見ると、疑問も多い。ロケットブースターによる加速は公道走行を前提としたものなのか。全固体電池の量産時期と価格は。LiDARの量産コストは。スマートキャビンが家電やロボットと連携する「スマートライフ中枢」というコンセプトは、Dreameの家電事業との相乗効果を狙ったものだろうが、自動車としての基本品質——衝突安全性、耐久性、アフターサービス——への言及はほとんどない。

ソース記事の編集者も「Sounds too good to be true(話がうますぎる)」と一言添えている。全固体電池の技術自体は確実に進歩しているが、ショーカーのスペックをそのまま量産車の未来と捉えるのは早計だ。Dreameが実車の量産と販売にたどり着けるかどうか、現時点で判断する材料は揃っていない。

出典

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BLADE NOTE編集部
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