BYD 4月販売8カ月連続減も輸出は最高 – 2026戦略の岐路NEW
海外販売134,542台、前年同月比70.9%増——。BYDの2026年4月販売データには、中国国内が8カ月連続で前年割れする一方、海外が過去最高を更新するという、いびつな二重構造が刻まれている。
海外シェア42.8%、輸出が販売を支える構図に
BYDが5月1日に公表した4月の新エネルギー車(NEV)販売台数は321,123台。前月比では6.96%増と春節後の落ち込みからは回復したが、前年同月比では15.51%減と、CnEVPostが伝える通り8カ月連続のマイナスを更新した。CarNewsChinaは乗用車のみに絞った314,100台ベースで集計しており、こちらは前年比15.7%減。集計対象が乗用車か商用車込みかで数値は微妙に異なるが、減速トレンドそのものは両ソースで一致している。
一方、同月の海外販売は乗用車とピックアップを合わせて134,542台。前年同月比70.9%増で、月次として過去最高に到達した。総販売に占める海外比率は42.8%——もはや「販売の半分近くが輸出」という構造に踏み込んだことになる。1〜4月累計でも海外455,707台(前年比59.8%増)と勢いは衰えておらず、BYDが掲げる2026年通年150万台の海外販売目標に対して、現時点で約30%を消化した計算だ。
主力ブランドは21%減、Fang Cheng Baoが約3倍
ブランド別の内訳を見ると、二極化が鮮明になる。
| ブランド | 4月販売(台) | 前年同月比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 主力BYD(Dynasty/Ocean) | 273,448 | -21.2% | 販売の主軸が大きく沈下 |
| Fang Cheng Bao(方程豹) | 29,138 | +190.25% | 新型セダン投入が寄与 |
| Denza(騰勢) | 11,250 | -26.89% | 4カ月連続でYoYマイナス |
| Yangwang(仰望) | 264 | +95.56% | 北京モーターショーでU9 Xtremeを披露 |
主力ブランドの21.2%減は、中国国内の値下げ競争による顧客流出と、新興ブランドへのカニバリゼーションが重なった結果とみられる。対照的に、オフロード系のFang Cheng Baoは投入済みのセダン系統が効き、ほぼ3倍の伸びを記録。最高峰Yangwangは台数こそ264台にとどまるが、北京モーターショーで2,000万元(約4億円)超の値札が付いたU9 Xtremeを披露しており、看板役としての存在感は維持している。プレミアム枠のDenzaは前月比57.72%増と短期では戻したが、前年比では4カ月続けてマイナスで、ブランド再構築の余地が残る。
1〜4月累計102万台、Q1純利益は55%減
1〜4月のNEV累計販売は1,021,586台で、前年同期比26.02%減。中国市場の年初の鈍化を差し引いても、4分の1を超える落ち込みは無視できない規模だ。
業績面の重さも、4月の数字に文脈を与える。先に開示された2026年第1四半期決算は、純利益40.9億元(約5.99億ドル、約880億円)で前年比55.38%減。中国EV市場の値下げ競争に加え、NEV支援策の段階的縮小、サプライチェーン関連のハードコスト上昇が、利益率を直撃した。台数の前年比26%減と利益55%減のギャップが、1台あたり利益の急速な目減りを物語っている。
「フラッシュ充電」と海外150万台、防衛ラインの行方
BYDはこの局面に対して、①超高速充電技術の量産展開、②ADAS機能の収益化、③海外販売の加速、という3本柱で攻勢を試みている。
超高速充電については、第2世代Blade Batteryと組み合わせた「Flash Charger」搭載モデルを既に10車種以上投入済み。CarNewsChinaは編集後記で「深圳の本社は、この高速充電が騎兵隊のように援軍として駆けつけてくれるのを期待しているだろう」と表現した。収益面では、ADAS(先進運転支援)アップグレードのオプション価格を20%超引き上げており、台数減を1台あたり収益で補う方針が透ける。
日本市場にとっても無関係ではない。BYDが本国で値下げ競争に消耗するほど、海外で売れる単価の高い完成品——SEAL、SEALION 7、ATTO 3、そして2025年秋発売のRACCO——の重要性が増す。日本ラインナップが2026年にどこまで攻めの価格設定を維持できるかは、本国の利益率次第という側面もある。
5月以降、海外の伸びだけで国内減を完全に相殺できるかは読み切れない。少なくとも4月時点では、海外70%増という強烈な追い風でも、前年比15%減を打ち消すには至っていない。年央にかけてフラッシュ充電搭載の新型がどこまで国内シェアを取り戻すか——そして150万台の海外目標を年内に到達させられるか。BYDの2026年の輪郭は、この2つの数字で決まる。
出典
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