第2世代ブレードバッテリー – 実走データから見る真価NEW
2026年3月の正式発表から2か月、BYDが投入した第2世代ブレードバッテリーの実走テスト結果が中国で出始めた。カタログスペックではなく実車での挙動が見え始めたことで、評価軸そのものが変わりつつある。日本のEVユーザーが本当に気にすべきは、発表会の数字ではなく、雪の朝や夏の高速SAでどう動くかだ。
実走テストが映し出した充電カーブの実態
EVsmartブログが伝えた中国でのテストでは、第2世代ブレードバッテリーを搭載した最新モデルが10〜80%の急速充電を実用域で完了させたとされる。LFP特有の低温時の性能劣化や、80%超で充電速度が急激に落ちる「終盤の壁」がどの程度緩和されているか——ユーザー目線では、ここが最大の関心事だ。
従来の第1世代ブレードバッテリーはエネルギー密度140Wh/kg台、最大充電レートが約2C前後にとどまっていた。第2世代では正極材の改良とセル構造の最適化により、この数値が引き上げられている。メーカー公称値と実走データのギャップが小さい点もポイントで、カタログ値だけが先行する電池が多いなか、実用シーンでの再現性は商品力に直結する。
長距離走行を前提にすると、ピーク出力よりも「平均充電速度」のほうが重要になる。SAで30分停まって何kWh戻せるかという指標は、ピーク値が350kWでも実効180kWで頭打ちになる電池では伸びない。第2世代がこの実効値をどこまで底上げしているか、今後の独立テストで明らかになるはずだ。
第2世代で何が変わったのか
BYDが3月の発表で示した変更点は3つに整理できる。1つ目は正極材の組成見直しによるエネルギー密度の向上。2つ目はセル間の熱管理を強化したCTB(Cell to Body)構造の改良。3つ目は充電制御アルゴリズムの最新化で、温度上昇を抑えながら高出力を維持する仕組みだ。
LFPは安全性と寿命で優位だが、エネルギー密度と急速充電性能でNMC系に劣るとされてきた。第2世代はこの弱点を狙い撃ちしている。釘刺し試験で発火しないという従来の安全性能はそのままに、長航続・短時間充電の領域でNMC系と勝負できる土俵に乗ったことになる。
もう1点見落とせないのは低温性能の改善だ。LFPは0度以下で容量と充電受け入れ性が落ちる傾向があり、北海道や東北でEVを使う読者にとっては死活問題だった。第2世代では電解液とセル温度管理の見直しで、この弱点に手を入れているとされる。雪国相当の条件で実走テストがどう振る舞うかが、日本市場での評価を左右する。
日本ラインナップへの波及シナリオ
現在BYD Auto Japanが国内で販売しているATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7、2025年秋投入のRACCOは、いずれも第1世代ブレードバッテリーを搭載している。第2世代の搭載車種が日本に上陸するタイミングは未定だが、中国市場での反応次第で前倒しもあり得る。
日本市場で第2世代が意味を持つのは、急速充電インフラの制約が大きいからだ。CHAdeMO主流の現行環境では、150kW級でも実用上はピーク値より大幅に低い出力で運用されるケースが多い。第2世代がインフラ側の出力制限下でも従来比で短縮効果を出せるなら、日常使いでの満足度は確実に変わる。
商品計画の観点では、SEALION 7やSEALといった上位モデルが第2世代を採用すれば、価格帯は据え置きでも商品力は底上げされる。発売後1年で値引きが進む現状を踏まえると、後期型・改良型としての投入は現実的な落としどころだ。一方、ATTO 3やDOLPHINのようなコンパクト・ミドル価格帯への展開は、コスト構造の見直しと併せて検討されるとみられる。
BYD Auto Japanは2026年時点で約100店舗体制が整いつつあり、販売基盤の整備は一段落している。次に問われるのは商品力の更新ペースだ。第2世代ブレードバッテリーがどのモデルに、いつ載るのか。購入検討中のユーザーにとっては、目先の値引きよりもこの世代交代のスケジュールが判断材料になる。
出典
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