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BYD国内向けピックアップが路上テスト – 工場認可も取得で発売間近か

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BYD: BYD国内向けピックアップが路上テスト – 工場認可も取得で発売間近か
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中国の道路で、カモフラージュを施したBYDのピックアップトラック試作車が目撃された。海外向け「Shark」とは異なるデザインを持つこの車両は、BYDが中国国内市場向けに専用モデルを準備していることを裏付けるものだ。

王朝シリーズとの共通デザインが浮上

中国のブロガー「戦神之音」が公開した画像によると、テスト車両のフロントデザインはBYDの「王朝(Dynasty)」シリーズの乗用車ラインナップに近い。この意匠から、国内向けピックアップは独立したオフロードブランドではなく、王朝シリーズの販売ネットワークを通じて展開される可能性がある。

海外で展開中のSharkが高性能なPHEV構成を採用しているのに対し、中国国内向けモデルはコスト重視のプラグインハイブリッド仕様になるとみられる。中国のピックアップ市場では実用性と価格が購入の決め手。この方向性は合理的だ。

工信部の認可が生産体制を裏付ける

テスト車両の目撃に先立ち、中国工業情報化部(MIIT)はBYDの鄭州工場にプラグインハイブリッドトラックの新たな生産カテゴリを追加した。中国の分類体系ではピックアップはこのカテゴリに含まれる。特定車種の承認ではないものの、BYDが国内でピックアップを製造する法的基盤が整った形だ。

規制上の手続きと実車テストがほぼ同時期に進んでいる。開発は市場投入前の最終段階だろう。BYDのブランド・広報担当ゼネラルマネージャーの李雲飛氏も2025年に「国内向けピックアップの発売は計画しており、遅かれ早かれ実現する」と述べていた。今回の路上テストと工場認可は、その発言が具体化したものだ。

「輸出専用」から二本柱へ——長城汽車の牙城に切り込む狙い

BYDのピックアップ戦略はこれまで海外市場が先行していた。Sharkは南米を中心に2026年の本格展開が見込まれ、グローバル拡大の一環として位置づけられている。業界データによると、BYDのピックアップ販売台数は3万9,466台。すべてが海外市場での実績で、世界ランキング7位につけている。

ここに来て国内モデルの開発が表面化した背景には、中国国内のピックアップ規制緩和がある。近年、河北省や雲南省など複数の地方政府が都市中心部でのピックアップ走行制限を段階的に撤廃しており、「働くクルマ」から「乗れるクルマ」への転換が進んでいる。乗用車・商用車・バスと事業領域を広げてきたBYDにとって、ピックアップは残された空白地帯のひとつだった。規制の壁が低くなった今が参入の好機というわけだ。

中国のピックアップ市場は年間約50万台規模。乗用車市場と比べれば小さいが、商用需要に加えてアウトドア・ライフスタイル層の拡大で成長基調にある。このセグメントで圧倒的な存在感を持つのが長城汽車だ。同社の「砲(Poer)」シリーズは中国ピックアップ販売の約4割を占め、乗用車感覚の内装と先進安全装備で市場を牽引してきた。

BYDが対抗する武器はBlade BatteryとDM-iプラットフォームだろう。DM-iは低速域でモーター駆動を優先し、高速域でエンジンを併用する構成で、燃費と動力性能のバランスに定評がある。ピックアップでは荷物の積載や牽引で大きなトルクが求められるため、モーターの瞬発力は実用面でメリットが大きい。砲シリーズのPHEV版「砲PHEV」が既に市場に存在する中、BYDがどの程度の価格帯で差別化を図るかが焦点になる。

フォードのジム・ファーリーCEOは中国製ピックアップについて「まったく別の動物だ」と表現し、牽引能力や積載量で「数字が合わない」と指摘した。既存メーカー側の警戒感をにじませる発言だが、裏を返せば、中国メーカーのピックアップが従来の北米型とは異なるアプローチで市場を開拓している証左でもある。

右ハンドル仕様のSharkと日本導入の可能性

BYDは日本でATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7と展開車種を増やしてきた。ただし、現時点でピックアップカテゴリの日本投入は発表されていない。

一方で、タイ工場で生産されるSharkには右ハンドル仕様が存在する。東南アジアやオーストラリアへの展開が進めば、地理的に日本市場への導入ハードルは下がる。日本では日本郵便が集配用車両のEV化を段階的に進めているほか、農業や建設現場での電動商用車への関心も高まっている。軽トラックの代替需要と合わせ、電動ピックアップが入り込む余地はゼロではない。中国国内向けモデルでコストダウンのノウハウが蓄積されれば、アジア各国向けの廉価モデル展開にもつながる。

次のマイルストーンは、工信部の製品カタログへの正式掲載だ。そこでスペックや価格帯が明らかになる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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