BYDラッコ納期 200は即納・300系は11月中旬解消へ
結論:BYD RACCOの納期は、ベースグレードの200が即納可能。300Plus・300Premiumは9月から順次納車が始まり、約1,300台の受注残を11月中旬までにおおむね解消する見込みだ(BYD Japanの2026年9月29日の説明、Car Watch 9月30日報道)。
| グレード | 納期の目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| RACCO 200 | 即納可能(在庫車) | BYD Japan説明(2026年9月29日) |
| RACCO 300Plus | 9月から順次納車。受注残は11月中旬までにおおむね解消見込み | 同上 |
| RACCO 300Premium | 9月から順次納車。受注残は11月中旬までにおおむね解消見込み | 同上(受注の約85%がこのグレード) |
待ち期間の月数は公表されていない。8月中旬の販売店取材では「おおむね3カ月」という回答もあった(kuruma-news)。他のBYD車を含む最新の納期はBYD納期チェッカーで確認できる。
2026年7月28日に発売したRACCOは発売2週間で受注1,002台に達し、8月末までに累計約1,500台、さらに9月中旬までには1,700台超(BYD Japan発表、AUTOCAR JAPAN 2026年10月6日報道)まで伸びた。BYD日本導入モデルとしては最速のペースだが、人気の裏側で上位グレードの納車待ちが長期化している。
8月の店頭回答は3カ月、月数の確定値はない
店頭の回答は「3カ月」
RACCO発売からちょうど3週間後の2026年8月17日、kuruma-newsの取材に対し、RACCOを扱う販売店の担当者は納期の目安を「3カ月」と答えた。これは全国統一の公式回答ではなく、あくまで一店舗・一時点の発言である。来店は発売直後の10日間に集中し、お盆休み前後で一旦落ち着いたという証言も残っている。
グレードと在庫で変わる
グレード、ボディカラー、契約した店舗の在庫状況、そして中国からの船便の到着タイミングによって、実際の納期は人によって大きく違う。新車購入メディアのcar-big.comは、BYD自身も販売店も単一の確定数字を示していないと指摘しており、契約前に「納車予定月」と「遅延時の連絡方法」を書面で確認することを勧めている。
エントリーグレードの200については事情が違う。motor-fan.jpが掲載した東福寺社長インタビューでは「即納できるクルマがある」との証言が出ている。納期を短くしたいなら、上位グレードを諦めて200の店頭在庫を探すのが現実的な近道になる。
受注1700台超、2週間で1002台

受注の推移を時系列で
RACCOは2026年7月28日の発売当日に全社で400台超(一般ユーザー分約220台)の受注を記録した。その後8月9日、発売からちょうど2週間の時点でCnEVPostとCarNewsChinaが相次いで「受注1,002台」を報じた。最上位グレードである300Premiumと300Plusが受注の8割を占め、35.84kWhの大容量バッテリーを積むモデルが94%に達したという。
RACCOの受注拡大のペースを細かく見ると、発売翌週の8月2日時点で741台(procar-purchase.comの二次集計、BYD公式では確認できない数値のため参考値)、8月9日に1,002台、8月末に約1,500台という形で、わずか1カ月で受注が3倍以上に膨らんだ。立ち上がりの早さは、BYD日本が投入したBEVモデル5車種の中でも際立っている。
勢いはそのまま続いた。BYD Auto Japanが2026年9月3日に発表したリリースによれば、8月末時点の累計受注は約1,500台、8月単月だけでBYDブランド全体の受注が1,260台と過去最高を記録した。上位グレードの300Premiumが受注の約8割を占める構図は変わっていない。さらにAUTOCAR JAPANが2026年10月6日に報じたところでは、BYD Japanは9月中旬までの累計受注が1,700台を超えたと発表している。現時点で本文が軸にすべき最新の公式数値はこの1,700台超であり、その後、BYD Japanは9月29日の説明会で9月27日時点の累計受注が1,832台、バッテリー供給の逼迫による受注残が約1,300台と明らかにした(Car Watch)。
BYD日本全体の販売動向と合わせて見ると、2026年1〜9月の登録車(JAIA集計)は3,263台、RACCOを含む軽自動車分を加えた合計は3,911台で、前年同期の2,899台から35%増えている。2023年通年1,446台、2025年通年3,742台という推移を踏まえると、RACCOの受注の速さはBYD日本全体の成長を一段加速させた格好だ。
BYDの日本向けラインナップ全車種の価格・スペックを比較した記事でも触れているとおり、RACCOは2026年9月29日に追加されたATTO3 EXと合わせ、BYD日本の現行6モデルの中でも導入初動の受注スピードが際立つ存在になった。
中国常州工場からの船便が影響
6段階を経る長い工程
RACCOは日本国内で生産されていない。生産拠点は中国・江蘇省常州の工場で、日本へは完成車を船便で輸送している。常州工場は2026年1月に稼働を始め、1月から8月までに新エネルギー車を18万台以上生産したが、この数字は工場全体・全モデルの合計であり、RACCO単体の供給力を示す数字ではない点に注意が必要だ。
受注から納車までの流れは、受注、配船、着船、配車、登録、納車という6段階を経る。国内生産のライバル車と違い、海を越える工程がまるごと一つ余分に挟まるため、各段階での遅延が積み重なりやすい。BYD Auto Japanのリリースでも、9月中旬以降に着船した車両から順次ディーラーへの配車を始め、9月後半にようやく「本格的な納車」が始まったと説明されている。実車を見て見積もりを取るなら、最寄りの正規ディーラーを都道府県から探せる。→ BYD正規ディーラー検索
販売網の拡大とのズレ
販売網の拡大も納期に絡む要素だ。BYDの公式ディーラーマップでは2026年9月7日時点で77拠点(営業中59、開業準備中18)に達し、2025年末に掲げていた「100拠点」目標には届いていない。BYD AUTO北九州は8月22日に開業し、北海道で初のサテライト店となるBYD AUTO旭川も10月17日に開業した。店舗網が広がるペースと車両供給が増えるペースのバランスが崩れれば、新規開業店ほど初期在庫が薄く、納期がさらに延びる可能性がある。
上位グレードはバッテリーが壁
LFPバッテリーとは
受注の7割から8割が集中する300Plusと300Premiumは、22.4kWhの200に対し35.84kWhのLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを積む。LFPはニッケルやコバルトを使わず熱暴走しにくく長寿命という特性を持つ代わりに、同じ容量でもエネルギー密度がやや低い。BYDはこのLFPセルを自社のブレードバッテリー構造に組み込んでおり、容量が大きくなるほどセル生産の行列に時間がかかる。
motor-fan.jpの東福寺社長インタビューでは、このバッテリー生産自体がボトルネックになっていると明言されている。受注の大半が大容量バッテリー搭載グレードに集中しているのに、そのバッテリーの生産ペースが追いついていない。これが「人気なのに納期が延びる」という一見矛盾した状況を生んでいる構造そのものだ。バッテリーの仕組みをもう少し詳しく知りたい読者は、EVバッテリー技術を解説したガイド記事も参考にしてほしい。
スペックと保証
グレード別のスペックを整理すると、200は22.4kWhでWLTC航続210km、価格は214万5,000円。300Plusと300Premiumはどちらも35.84kWhでWLTC航続320km、価格はそれぞれ239万8,000円、249万7,000円となる。わずか9万9,000円の価格差でグレードが分かれる300Plusと300Premiumだが、受注比率を見るとPremiumへの集中が目立つ。車体は全長3,395mm、全幅1,475mm、全高1,800mm、ホイールベース2,520mmと軽自動車枠の中に収まり、前輪モーターは63馬力・160Nmを発生する。バッテリー保証は標準で8年・15万kmまで、有償1万8,000円で10年・20万kmまで延長できる。
RACCOは日本初の両側電動スライドドアを備えた軽EVで、SDV(ソフトウェア定義車両)を基盤にしている点もBYD既存車種にはない特徴だ。SDVは、エンジン制御から内外装の各機能までを個別の専用ECU(電子制御ユニット)でまかなう従来方式とは異なり、少数の統合ECU(ドメインコントローラー)にソフトウェアで機能を集約し、販売後も通信越しのOTA(Over The Air)更新で機能を追加・改善できる構造を指す。この構造は量産後の機能拡張には強い一方、生産段階では統合ECUと専用の車載ソフトウェア・通信モジュールをあらかじめセットで用意しておく必要があり、どの部品が欠けても車両全体の組み立てが止まる。従来型の軽自動車のように機能ごとに独立した安価な制御ユニットを個別に積み替える自由度が低いため、特定部品の供給が滞ると他のモデルより生産のしわ寄せが大きく出やすい。この新規性が需要を押し上げた一因である一方、新機構ゆえの部品調達リードタイムが供給全体の遅れに輪をかけている可能性も否定できない。
8月登録81台は低迷ではない

ネット上では「RACCOは8月に81台しか売れていない」という言説が広まった。この数字は全国軽自動車協会連合会が集計した8月の新車登録台数であり、受注(契約)台数とは別物だ。受注はすでに8月末で約1,500台に達していたのに、登録はわずか81台にとどまった。
種明かしは単純だ。受注の約8割を占める300Premiumの車両が、まだ日本に着いていなかった。8月に登録された81台は、先行して納車できた200グレード中心と見られる。「受注は早いのに登録は遅れて出てくる」というタイムラグこそが、読者が知りたい「納期」の実態そのものだ。9月中旬以降に着船が進み本格的な納車が始まったことで、この数字は秋以降に大きく伸びる見通しになっている。
価格と補助金、サクラとの差
RACCOのCEV補助金は全グレード一律15万円にとどまる。対する日産サクラとホンダN-ONE e:は58万円、三菱eKクロスEVは57.4万円で、RACCOより43万円手厚い。innovatopia.jpの分析によれば、2026年度のCEV補助金は200点満点のうち車両性能を45点、充電インフラ整備やアフターサービス体制、サイバーセキュリティ対応などの「企業の取り組み」を155点という配点にしている。日本に参入して間もないBYDは、この企業評価の積み上げが薄く、補助金額を伸ばしにくい構造に置かれている。
補助金適用後の実質価格で比べると、RACCO200は199万5,000円、サクラの基本グレードは186万8,600円まで下がり、サクラの方が12万6,000円安くなる計算だ。逆にWLTC航続320kmの300Plusまで視野を広げれば、航続距離あたりの価格効率ではRACCOに分がある。東京都在住者ならZEV補助金も加わる。2026年7月1日以降の登録なら、基本20万円に外部給電加算10万円とBYDの上乗せ10万円を足した40万円が、個人で太陽光発電設備等の併用がない場合、RACCOを含むBYDのBEV全車種に付く。購入時の負担を抑えたい人には、頭金0円・5年60回払いで月々1万9,300円という「ラッコ楽っとプラン」の例も用意されている。東京都に住んでいる場合は、都の補助金でRACCOの実質価格がさらに下がる。→ RACCOの東京都補助金と実質価格
RACCOを自宅で充電する前提で検討している読者も多いはずだ。日本のCHAdeMO急速充電器は2025年末の13,797口から2026年6月末には14,553口まで増え、月150口前後のペースで増加が続いている。充電網の整備状況は充電インフラの最新ガイドにまとめているので、納期待ちの間に確認しておくとよい。なお、同じ軽EV枠で比較対象になりやすいホンダN-ONE e:の具体的な納期情報は、今回の調査では公式に確認できなかった。
サクラとの比較表
| 項目 | RACCO 200 | 日産サクラ |
|---|---|---|
| 価格(税込・補助金適用前) | 214万5,000円 | 244万8,600円 |
| 国の補助金 | 15万円 | 58万円 |
| WLTC航続距離 | 210km | 180km |
| 生産地 | 中国・常州 | 日本国内 |
| 納期の目安 | 3カ月(kuruma-newsの販売店取材) | 1.5〜 |
サクラは国内生産のため、輸入車のRACCOより供給のリードタイムが構造的に短い。ツートンカラーを選ぶとサクラも納期が1〜2カ月延びるとされ、色や仕様による変動はどちらの車にも共通する話ではある。
BLADE NOTEの見立て
RACCOの納期問題は、製品の欠陥ではなく需要予測のミスだとBLADE NOTEは見ている。発売2週間で受注1,002台という数字は、BYD自身が想定していたペースを上回っていた可能性が高い。常州工場からの船便輸送というもともと時間のかかる供給網に、予想以上の注文が一気に流れ込み、ボトルネックが露呈した格好だ。
次の一手は船便か生産ラインか
ここで論点になるのは、BYDが今後「日本向けの船便の頻度を増やす」のか「生産ラインの優先度をRACCO向けに振る」のか、あるいは両方を進めるのかという選択だ。販売網を2026年末までに100店舗、2027年末までに120店舗へ広げる計画と合わせて考えると、店舗数の拡大が先行し、肝心の車両供給が追いつかない事態になりかねない。年末までに累計受注1万台という目標を掲げている以上、供給側の強化は急務だろう。
もう一つの論点は補助金制度だ。企業の取り組みに155点を割く配点は、充電網やアフターサービスで実績を積んだ既存メーカーを優遇する仕組みであり、新規参入のBYDには構造的に不利だ。安全性や環境性能で劣っているわけではないのに補助金額が低いという状況は、消費者の選択をゆがめている側面がある。この配点構造が見直されない限り、BYDは価格の安さと納期の我慢比べで勝負せざるを得ない。
契約前に確認すべきこと
今契約を検討している読者への実務的な助言は一つだ。納期を単一の月数で断定する情報は信用しない方がいい。「数ヶ月単位、グレード次第ではそれ以上」という幅のある前提で、契約時に納車予定月と遅延時の連絡方法を書面で確認する。
納期を1日でも早めたい人への具体的な動き方も書いておく。まず店舗に「200グレードの店頭展示車・試乗落ちの在庫車はあるか」を聞く。次に「300系を契約済みの場合、着船予定のロット番号や目安の月」を尋ねる。口頭の目安だけでなく、見積書に納車予定月を書面で残してもらえば、後から「言った言わない」のトラブルを避けられる。それが2026年10月時点でのRACCO契約における最も確実な対処法になる。車種とグレードごとの最新の納車目安は、納期チェッカーで確認できる。→ BYD納期チェッカー
出典
- RACCO受注約1,500台、8月単月受注が過去最高に(BYD Auto Japan公式リリース)(response.jp)
- AUTOCAR JAPAN「BYD RACCOの受注、9月中旬までに1,700台超に」(2026年10月6日配信、BYD Japan発表)
- BYD RACCO、受注好調で本格納車へ(AUTOC ONE)
- BYD RACCOの納期は?予約・注文方法と販売店で確認すべきこと(car-big.com)
- BYD RACCO、販売店取材でみえた受注の実態(kuruma-news)
- BYD RACCO、8月の登録は81台 受注との差の理由(kuruma-news)
- BYD Japan東福寺社長インタビュー(motor-fan.jp)
- BYD Racco gets over 1,000 orders in Japan two weeks after launch(CnEVPost)
- BYD Racco received over 1,000 orders two weeks after the launch(CarNewsChina)
- BYD RACCO 受注・納期まとめ(procar-purchase.com)
- BYD Racco(Wikipedia)
- BYD RACCO発売、価格214万5,000円から(BYD Auto Japan公式リリース)(response.jp)
- BYD RACCOの補助金はなぜ少ないのか(innovatopia.jp)
- BYD RACCO、ラッコ楽っとプランと保証延長を発表(Impress Watch)
2026年10月24日: 納期の目安を最新の情報(200は即納可能、300系は11月中旬までに受注残をおおむね解消見込み。BYD Japan 9月29日説明)に更新し、9月27日時点の受注1,832台・受注残約1,300台をBYD Japanの説明による数値に改めました。




