EV市場・日本

フォロフライF11VS試乗 – ハイエースからの乗り換えは現実的かNEW

4分で読める
EV市場・日本: フォロフライF11VS試乗 – ハイエースからの乗り換えは現実的か
広告

積載量1トン、商用EVの本命になりうるか——。ファブレスメーカーのフォロフライが手がける「F11VS」に試乗した。中国製プラットフォームをベースに日本市場向けにチューニングされたこのモデル、現場で使い倒されているハイエースの代替になるのか。積載量・航続距離・充電運用・TCO(総保有コスト)の4軸で検証する。

フォロフライとは何者か

フォロフライは京都に本社を置くファブレスEVメーカーだ。自社で工場を持たず、中国・東風小康の車両をベースに、日本の法規や使用環境に合わせた仕様変更を施して販売する。いわば「商用EV版の企画・輸入会社」に近い立ち位置である。

ファブレスという業態に対して、アフターサービスや品質管理への不安を持つ事業者は少なくないだろう。実際、商用車は「壊れたら仕事が止まる」世界だ。この点を踏まえたうえで、車両そのものの実力を見ていきたい。

走りと積載——ハイエースとの率直な比較

F11VSの車両サイズはハイエース標準ボディに近い。荷室の広さは実用上十分で、1トンクラスの荷物を積める仕様だ。ただし、荷室の形状や床面の高さ、リアゲートの開口部といった細部は、長年かけて熟成されたハイエースと単純比較すると差がある。

走行フィールはEVらしく静粛で、低速トルクの太さは市街地での配送業務に向いている。ストップ&ゴーの多いルート配送では、ATのギクシャク感がないぶん、ドライバーの疲労軽減にもつながる。一方で、高速道路での合流や追い越し時のパワー感は、ディーゼルのハイエースに及ばない印象だ。

航続距離と充電——現場運用は成り立つか

カタログ上の航続距離は約300km。実用上は積載量やエアコン使用で2〜3割減ると見るのが妥当で、実質200km前後が目安になる。

都市部のルート配送であれば1日の走行距離は100km以下のケースも多く、夜間に拠点で普通充電すれば翌朝にはフル充電で出発できる。この運用パターンなら問題は少ない。逆に、1日200km以上走る長距離便や、拠点に充電設備を設置できない事業者にとっては、現時点でハイエースの代替は難しい。

急速充電はCHAdeMO対応だが、商用車は「充電待ちの時間=稼げない時間」であり、配送の合間に30分〜1時間の充電を挟む運用は現実的とは言いがたい。充電インフラの設置が前提条件になる。

項目 フォロフライ F11VS ハイエース(ディーゼル)
駆動方式 EV(モーター) ディーゼル 2.8L
最大積載量 約1,000kg 約1,000kg(標準ボディ)
航続距離 約300km(カタログ値) 約800km以上
燃料/電力コスト(月) 約1.5〜2万円 約4〜6万円
車両価格 約450万円〜(補助金前) 約350万円〜

TCOで逆転できるか

車両本体はF11VSのほうが高い。ただしCEV補助金を活用すれば差は縮まり、さらにランニングコストの差が効いてくる。ディーゼルのハイエースは月間走行2,000kmで燃料代が4〜6万円かかるのに対し、EVは電気代1.5〜2万円程度。オイル交換も不要だ。

単純計算で月3万円前後のコスト差があるとすれば、5年で180万円。車両価格差を吸収できる可能性はある。ただし、これはバッテリーの劣化がない前提の話だ。5年後・10万km走行後にバッテリー容量がどこまで維持されるか。ファブレスメーカーの保証体制がどこまで手厚いか。この2点がTCO計算の最大の不確定要素になる。

加えて、リセールバリューの問題もある。ハイエースは国内外で中古需要が極めて高く、10年落ちでも値が付く。F11VSにそこまでの残価が期待できるかは未知数だ。

導入に踏み切れる事業者の条件

現時点でF11VSへの乗り換えが成立するのは、かなり限定的な条件を満たす事業者に絞られる。自社拠点に充電設備を設置でき、1日の走行距離が150km以下で、車両を5年以上使い続ける前提の事業者。こうしたケースならTCOメリットを享受できる。

逆に、長距離輸送がある、拠点充電が難しい、短期で車両を入れ替える——いずれか1つでも該当すれば、ハイエースに留まるほうが合理的だ。

フォロフライのアプローチは、中国で量産されたEVプラットフォームを日本仕様に仕立てることでコストを抑える戦略。商用EV市場に選択肢を増やしている点は評価できる。あとは、故障時の対応スピードと部品供給の安定性で実績を積めるかどうか。現場の信頼は、スペック表ではなく稼働率で決まる。

出典

広告
BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。

BYD・中国EVの最新ニュースを毎日配信中。
フォローして最新情報をチェック!