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BYD ATTO3の航続距離は620km、旧型470kmから拡大

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BYD ATTO3の航続距離は620km、旧型470kmから拡大

BYD ATTO3の航続距離はWLTCモードで620km、これは2026年9月29日発売の現行モデル「ATTO3 EX」のRWD仕様の値だ。

2023年発売の旧モデルのカタログ値は470km。620kmと470km、2つの数値が検索結果に混在しているのは世代の違いによるもので、現行の正式値は前者にあたる。本記事ではまず両モデルの違いを整理し、進化の核心であるブレードバッテリーの仕組み、競合との比較、そして実際の実力まで掘り下げる。

結論、EXの航続距離は620km

2026年9月29日、BYD日本の正規ディーラーで「ATTO3 EX」の販売が始まった。価格は税込でRWD 437万8000円、AWD 487万3000円。CEV補助金は両モデルともに15万円で、実質負担額はそれぞれ422万8000円、472万3000円になる。WLTCモードの航続距離はRWD 620km、AWD 550kmで、旧モデルの470km(FWD)から大きく伸びた。

伸びの要因はバッテリー容量の増加だ。旧モデルの58.56kWhに対し、EXは74.88kWhと約28%増量している。さらに駆動方式もFWDからRWD/AWDに刷新され、モーター出力は旧モデルの150kWに対しRWDで230kW、AWDは合計330kWまで強化された。日本市場のBYD全6モデルの価格と航続距離はBYD全車種比較でも一覧にしているので、SEALやSEALION 7との価格差を確認したい読者はあわせて見てほしい。

項目 旧ATTO3(FWD) ATTO3 EX(RWD)
発売 2023年1月 2026年9月
価格(税込) 418万円 437万8000円
バッテリー容量 58.56kWh 74.88kWh
WLTC航続距離 470km 620km
モーター出力 150kW 230kW
急速充電(最大) 85kW 100kW

旧型470kmは今も現存

BYD ATTO3の航続距離は620km、旧型470kmから拡大
出典: ENECHANGE EV充電

旧モデルは2023年1月に440万円で発売され、2024年3月の改良で450万円、現在は418万円という価格を掲載している媒体が複数ある。WLTCの航続距離は一貫して470km、電費は7.19km/kWhという表記だ。発売当初の一部記事には「485km(自社調べ)」という数値も出回ったが、これは国交省の型式指定を取る前にBYDが独自に測定した参考値で、2023年6月28日に型式指定を取得した後の正式なカタログ値は470km。485kmを今の公式値として扱うのは誤りにあたる。気温や速度の条件を変えたときの航続距離は、シミュレーターで車種ごとに試算できる。→ EV航続距離シミュレーター

補助金の推移もややこしい。型式指定を取得した2023年6月時点では、中国ブランド初の型式指定車としてCEV補助金85万円の対象になった。現在(2026年4月以降)は15万円。この間にどのような額を経てきたかは一次情報で確認が取れておらず、ここで断定するのは避ける。なお、EXモデル発売後に旧モデルの販売が終了したのか、併売されているのかも公式資料に明記がない。価格情報が今も掲載され続けていることから、在庫対応や並行販売の可能性はあるが、確証のある情報ではない。

価格だけで比較すると、旧モデルの418万円とEXの437万8000円の差はわずか19万8000円だ。航続距離は470kmから620kmへ150km、モーター出力も150kWから230kWへと大きく向上しており、差額に対して得られる性能向上は大きい。現時点で旧モデルを選ぶ合理的な理由があるとすれば、納車タイミングや在庫処分による価格交渉の余地くらいで、スペック面だけで判断するならEXを選ぶ方が無難だろう。車種とグレードごとの最新の納車目安は、納期チェッカーで確認できる。→ BYD納期チェッカー

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ブレードバッテリーとCTBの仕組み

BYDの航続距離の話をするうえで避けて通れないのが「ブレードバッテリー」と「CTB」だ。まずブレードバッテリーはLFP(リン酸鉄リチウム)というセル化学を使う。LFPは三元系(NMC)に比べてエネルギー密度は一段低いが、熱暴走が起きにくく、コバルトなどの高価な金属を使わないためコストが安い。BYDはセル1本1本を薄く長い板状(刃=ブレード)に成形し、すき間なく並べることで、電池パック全体としてのエネルギー密度の低さをある程度カバーしている。

この設計変更にはもう一つの狙いがある。LFPは三元系に比べて劣化が緩やかで、サイクル寿命が長いとされる。航続距離を稼ぐために単純にセル数を増やすと車両は重くなり効率が落ちるが、BYDは高密度化と長寿命というLFPの強みを活かしつつ、CTB化で容積効率を上げることで航続距離を伸ばす方向を選んだとみられる。短期的な数字の伸びだけでなく、長期的な電池劣化の遅さも、EXの620kmという値の持続性に関わってくる要素だ。

CTBとは何か

CTB(Cell to Body)は、電池パックを車体の構造部材そのものとして使う設計だ。従来のCTP(Cell to Pack)構造では、電池セルをまとめたパックを箱として作り、それを車体の床下にボルトで取り付けていた。いわば「弁当箱を車の下に積む」イメージで、箱の壁や骨格のぶんだけ空間とコストを消費する。CTBでは、電池パックの上面カバーを車体フロアと一体化させ、電池自体が車体のねじれ剛性を担うモノコック構造の一部になる。弁当箱の壁を取り払い、箱そのものを床板として使うような設計変更だ。これにより同じ車体サイズでもセルを詰め込める容積が増え、58.56kWhから74.88kWhへの増量につながった。

CTBは剛性面でもメリットがある。BYDは電池パックが衝突時の荷重を受け止める構造だとしており、ボディ単体では得にくい横方向の剛性向上にも寄与するという。ただしこれはメーカー側の説明であり、第三者機関による衝突試験での定量的な裏付けは今回確認できていない。

競合比較、Konaに匹敵する620km

日本で売られているCセグメントBEVの中でEXのRWD 620kmがどの位置にあるかを見てみる。日産アリアB6はバッテリー60kWhでWLTC470km、リーフe+は60kWhで450km、標準のリーフは40kWhで322km。ヒョンデKona Electricは48.6kWhのCasualで456km、64.8kWhのロングレンジ「Voyage」で625km。テスラModel Yは547km〜788kmの幅がある。

車種 バッテリー WLTC航続距離 価格帯(税込)
ATTO3 EX(RWD) 74.88kWh 620km 437.8万円
日産アリアB6 60kWh 470km 非公表
日産リーフe+ 60kWh 450km 非公表
Kona Electric Voyage 64.8kWh 625km 非公表
Model Y Premium RWD 非公表 547km〜 非公表

並べると、旧ATTO3(470km)はこの価格帯で中位からやや劣る位置だったが、EXの620kmはKona Voyageの625kmにほぼ並ぶ。しかもKona Voyageより価格が抑えられている点を考えると、カタログ値の比較だけで見ればEXの立ち位置はかなり改善したと言える。車種ごとの詳しい比較は中国EVメーカー一覧でも整理しているので参考にしてほしい。

実測値は公式値より下がる傾向

BYD ATTO3の航続距離は620km、旧型470kmから拡大
出典: ENECHANGE EV充電

カタログ値がそのまま出るとは限らない。オーストラリア自動車協会(AAA)が旧世代・豪州仕様のATTO3(カタログ480km)を使ったリアルワールドテストでは、実測369km、カタログ比23%減という結果が出ている。テスト対象5車種の中で最も落ち込みが大きかった。ただしこの480kmという値は日本のWLTCとは異なる試験サイクルに基づくもので、AAA自身も「同じ基準で比較すれば差は約12%相当」と注記している。豪州仕様・旧世代のデータである点にも注意が必要で、日本仕様の470km(WLTC)やEXの620km/550kmに直接当てはめることはできない。あくまで「LFPブレードバッテリー搭載車は実測時に電力消費が目立って増える傾向がある」という定性的な参考情報として受け止めるべきデータだ。

国内の価格比較サイトkakaku.comには、旧FWDモデルのユーザーから「カタログ470kmに対し実走350〜400km程度」「冬季(気温10度以下)は280〜350km程度まで落ちる」という投稿が複数ある。これは匿名の個人の体験談で、測定方法も母数も不明なため、公式データのように扱うのは適切ではない。あくまで「そういう報告がある」という参考情報だ。旧型(470km)を前提に、冬の航続距離を気温別に試算した記事もある。→ ATTO 3 冬の航続距離(気温別の試算)

EXモデルについては、発売からまだ3週間ほどで、独立機関による大規模なリアルワールドテストは確認できていない。現時点で見つかる数少ない実測寄りのデータは、car.watchの試乗記事にある「150kW急速充電器で30分間に44.3kWh充電できた」という記録だ。記者はこれをRWDモデル換算で約366km分の充電量に相当すると算出している。あくまで充電量からの換算値であり、実際に620km走った実測記録ではない点は明記しておく。実車を見て見積もりを取るなら、最寄りの正規ディーラーを都道府県から探せる。→ BYD正規ディーラー検索

急速充電は85kWから100kWへ

充電性能も旧モデルから上がっている。急速充電の最大受電出力は旧モデルの85kWからEXで100kWに向上し、さらに充電予熱機能と5段階の電流制限機能が新たに搭載された。充電予熱は、ナビで充電スポットを目的地に設定すると到着前にバッテリーを最適な温度に温めておく機能で、冬場の充電時間短縮に直結する。5段階の電流制限機能は、バッテリーの状態や温度に応じて充電電流を段階的に調整し、劣化を抑えながら安全に急速充電するための仕組みだ。

数字で見ると、旧モデルは58.56kWhのバッテリーに85kWの急速充電で約1.45C、EXは74.88kWhに100kWで約1.34Cとなる。バッテリー容量が28%増えたのに対し充電出力は約18%増とやや控えめな伸びだが、Cレート(充電出力をバッテリー容量で割った値)で見ればむしろ旧モデルより低くなっている。これは単純な急速充電の「速さ」競争ではなく、大容量化してもセルへの負荷を抑えながら充電時間の伸びを抑える設計だと読み取れる。

日本国内のCHAdeMO規格の急速充電器は、GoGoEVの集計で2025年末に13,797口、2026年6月末に14,553口。月150口前後のペースで増えている。EXの最大受電が100kWになったことで、150kW級の高出力充電器が増えている充電網の性能をより引き出せるようになった計算だ。旅行先での充電計画については充電インフラガイドにもまとめている。

BLADE NOTEの見立て

カタログ値だけ見ればEXの620kmは立派な進化だが、素直に喜べない部分もある。LFPブレードバッテリーは安全性とコストを優先した設計で、同じ容量の三元系バッテリーより実効エネルギー密度が低い。AAAの豪州テストが示す「カタログ比23%減」の傾向がEXにも当てはまるなら、実際の高速巡航では450km台まで落ちる計算になる。これはKona Voyage(625km)との差が実質的にほとんどなくなる、あるいは逆転する可能性すら含んでいる。BYDがこの点について独自の実測データを公開していないのは、カタログ値の数字勝負では見劣りしない自信の裏返しとも、実測を出しづらい事情があるとも読める。どちらかを断定する材料は今のところない。

もう一つ気になるのは補助金の構造だ。CEV補助金はBYDのBEV全車種が一律15万円で、航続距離が620kmに伸びても増額されない。一方で日産サクラは58万円、三菱eKクロスEVは57.4万円と、軽BEVの方が手厚い。補助金の設計が車両のサイズや用途を基準にしている以上、ATTO3のような輸入Cセグメント車にとっては航続距離を伸ばすほど補助額との割が合わなくなる構図がある。BYDが航続距離の長さを価格競争力に転換しきれていない理由の一端はここにもありそうだ。

購入を検討する読者への実務的な助言としては、カタログ値の620km/550kmをそのまま鵜呑みにせず、冬季や高速巡航時の実測データが出てくるまで判断を保留するのが賢明だ。試乗の際は近距離の街乗りだけでなく、可能であれば高速道路での巡航時の電費も確認し、カタログ値の前提条件を自分の使い方に当てはめて検証する姿勢がないと、Kona VoyageやModel Yとの比較で後から後悔するケースも出てくるだろう。

EXの実力を見極める材料は、まだ市場に十分出ていない。独立機関や自動車メディアによる冬季の実測データが出てくる2027年1〜2月あたりが、620km/550kmという表示値がどこまで現実的かを判断する最初の機会になる。

出典

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BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの価格・補助金・販売店の情報を、メーカー発表や官公庁資料などの一次情報をもとに日本語で整理しています。記事作成には AI を活用し、数値と事実関係は編集部が一次資料で確認しています(編集方針)。