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BYD仰望U9 Xtreme – 約4億円の電動スーパーカーが示す高級化戦略

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BYD仰望U9 Xtreme – 約4億円の電動スーパーカーが示す高級化戦略

1台2000万元超、日本円にして約4億円。北京モーターショー2026で最も高額な取引を記録したのは、フェラーリでもブガッティでもなく、BYDだった。

仰望U9 Xtreme——世界限定30台の電動ハイパーカー

BYDの超高級サブブランド「仰望(Yangwang)」が北京モーターショーで市販版U9 Xtremeを披露し、会場で最初の購入者への納車を行った。BYDブランド・広報担当の李雲飛氏によれば、販売価格は1台あたり2000万元(約4億円)超。今年の北京モーターショーで最高額の取引となった。

世界限定30台。王伝福(ワン・チュアンフー)会長自らがオーストラリアの著名実業家ニック・ポリティス氏に車両を引き渡すセレモニーも行われた。2025年9月に予約受付を開始しており、すでに世界中のトップバイヤーから注文が集まっているという。

ニュルブルクリンク7分切りの実力

価格に見合う性能は数字が証明している。4基のモーターが生み出す合計出力は2220kW。CnEVPostは2977馬力と報じ、CarNewsChinaは3000馬力超としている。

2025年9月、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで6分59秒157を記録。量産電動車として初めて7分の壁を破った。さらにドイツATPテストコースでは最高速度496.22km/hを叩き出し、世界記録を樹立している。

これらを支えるのが量産車世界初の1200Vプラットフォームだ。放電レート30Cのカスタムバッテリー、500km/h対応の専用タイヤ、カーボンセラミックブレーキ、そしてBYD独自の完全アクティブサスペンション「DiSus-X」を搭載する。

「格安EV」の看板を書き換える仰望ブランドの役割

日本の自動車業界に馴染みのある構図で説明するなら、仰望はBYDにとってのレクサスだ。トヨタが大衆車メーカーのイメージを維持したままレクサスで高級市場に参入したように、BYDは仰望ブランドを通じて「安い中国車」というレッテルを剥がそうとしている。

ただし、仰望の攻め方はレクサスより過激だ。レクサスが量販高級車として地歩を固めたのに対し、仰望はいきなりハイパーカーと超高級SUVという頂点から入った。北京モーターショーではU9 Xtremeと並んで4人乗り高級SUV「U8L」も展示されている。U8Lはメルセデス・マイバッハGLS 600と競合する価格帯で、130万元(約2600万円)超とされる。パフォーマンスとラグジュアリー、両方の頂点を同時に押さえにいく戦略だ。

CarNewsChinaのデータによれば、仰望の2026年第1四半期の国内販売台数は945台。前年同期の524台から80.3%増加した。ただし2025年第4四半期の2248台からは58.0%減少しており、季節変動も大きい。年間数千台規模のニッチブランドであり、ここで利益を稼ぐことが主目的ではない。

技術の旗艦が量販車にもたらすもの

仰望で開発・実証された技術は、BYDの量販モデルに降りてくる。1200Vプラットフォームやアクティブサスペンション技術はその典型で、将来的にSEALやSEALIONクラスへの展開が見込まれる。トヨタがレースやレクサスで磨いた技術をカローラに反映させてきたのと同じ構図だ。

日本市場でBYDはATTO 3やDOLPHINなど300〜500万円台のモデルを展開し、2025年には約6000台の販売を見込んでいる。仰望が日本に上陸する可能性は当面低いが、そこで培われた技術が日本向けモデルの商品力を底上げしていくことになる。

中国の自動車メーカーが超高級・ハイパフォーマンスという、欧州勢が長年支配してきた領域に本格参入し始めた。4億円のスーパーカーを30台限定で売り切る——BYDはもう「格安EVメーカー」ではない。少なくとも、そうありたくないという意思表示は明確だ。

出典

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BLADE NOTE編集部
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