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テスラ日本店舗60拠点へ拡大、BYD78店舗と販売網比較

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テスラ日本店舗60拠点へ拡大、BYD78店舗と販売網比較

テスラ日本は2026年4月、店舗網を60拠点以上へ増やす目標を打ち出した。BYDの「100店舗」目標は2026年9月時点で77拠点、達成率77%だ。

拠点数で見ればBYDがテスラの2倍以上だが、1店舗あたりの販売効率で見ると構図は一変する。BLADE NOTEが公開データから独自に算出したところ、テスラの店舗効率はBYDの6倍前後に達する。単純な「店舗数競争」の勝敗では、輸入EV市場の実態を見誤る。

テスラ60拠点、輸入車No.1を宣言

2026年4月、テスラは新型「Model Y L」の発売イベントで、日本における中期目標を初めて明確に語った。テスラ日本のカントリーマネージャーを務める橋本信吾氏が「できれば来年、2027年にも輸入車ブランドでトップを目指す」と表明し、店舗網を「少なくとも60拠点」へ拡大する方針を示した。

発表当時の店舗数は35拠点、サービスセンターは14拠点だった。サービスセンターは今後約30拠点へ倍増させる計画で、販売網だけでなく整備・修理の受け皿づくりも同時並行で進める構えだ。輸入車市場で長年トップに立つメルセデス・ベンツやBMWに対し、店舗数の少なさは長らくテスラの弱点とされてきた。その弱点を数で埋めにきた格好である。

「輸入車ブランドNo.1」という目標がどれほど大きいかは、2025年の実績を見れば分かる。メルセデス・ベンツは11年連続で輸入車販売1位を守り、台数は約4万9,654台から5万台規模。2位のBMWは約3万4,044台だった。一方のテスラ日本は2025年に約1万600台と、初めて国内で1万台を超えたばかりの段階にある。台数で5倍近い差がある相手に、店舗網の拡大だけで2027年に食い込めるかどうかは、本稿の時点では未検証の目標と言うほかない。

テスラ店舗、10から35拠点に増加

テスラ日本店舗60拠点へ拡大、BYD77拠点と販売網比較
出典: CnEVPost

テスラの店舗網はここ数年で急速に広がった。2024年末に10拠点だった拠点数は、2025年末に29拠点まで増え、同年の国内販売は前年比9割近く伸びて初めて年間1万台を超えた。2026年4月時点では35拠点に達している。

報道によっては2026年末の目標を「約50拠点」とする記事もあり、時点によって数字にブレが見られる。いずれにしても、2027年の「60拠点以上」という目標は、わずか3年で店舗数を6倍に増やす計画であり、直営方式を取るテスラにとっては相当な投資判断になる。

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テスラ直営、BYDはFC方式

テスラとBYDの出店戦略を理解するうえで欠かせないのが、販売網の「形」の違いだ。テスラは全店舗を自社の直営とし、販売もアフターサービスも一括して管理する。店舗設計も試乗体験を重視したつくりで統一され、ガソリン車からの乗り換え層が抱く不安を店内で解消する狙いがある。

対するBYDはフランチャイズ、つまり代理店方式を採用している。地場の自動車販売会社と契約し、BYDブランドの看板を掲げてもらう形で店舗網を広げる。2022年8月の乗用車参入発表時、BYDは「2025年までに全国100店舗」を掲げ、1店舗あたり年間300台という販売目標も同時に示した。当時の日本の乗用車ディーラーの平均販売台数が1店舗あたり200台程度だったことを踏まえると、相当に高いハードルを自ら設定したことになる。

直営方式は品質と接客の一貫性を保ちやすい一方、店舗投資をすべて自社で負うため拡大のペースは遅くなりがちだ。フランチャイズ方式は既存の販売網を取り込めるため出店スピードを出しやすいが、加盟店ごとに収益性や接客品質にばらつきが生まれるリスクを抱える。この違いが、後述する店舗あたりの販売効率の差にそのまま表れている。

2024年4月時点では正規ディーラー22拠点を含む51拠点まで広がっていたBYDの店舗網に、2025年11月には老舗輸入車ディーラーのヤナセが加わった。新会社「ヤナセEVスクエア」を設立し、BYDオートジャパンと正規特約店契約を結んだ。2026年7月11日に横浜・磯子で初の店舗(BYD AUTO 横浜南)を開業し、BYDのFC網に老舗ディーラーの信用力が加わる転換点になった。中国EVメーカー各社の戦略を見渡しても、現地の販売網をそのまま取り込む手法は珍しくない。

店舗効率はテスラ6倍、独自算出

拠点数だけを比べると、BYDはテスラの2倍以上の店舗網を持つ。しかし「1店舗がどれだけ売っているか」という販売効率の視点を加えると、評価は大きく変わる。BLADE NOTEが公表データをもとに単純計算したところ、テスラの店舗あたり年間販売台数は約366台、BYDは約55台となった。

独自算出の根拠

計算の根拠は次のとおりだ。テスラは2025年末の29拠点に対し、2025年の国内販売が約1万600台。1万600を29で割ると、1拠点あたり約366台になる。BYDは2025年11月末時点の68拠点(開業準備中を含む)に対し、2025年の乗用車販売が3,742台。これを68で割ると1拠点あたり約55台となる。どちらもBLADE NOTE独自の単純計算であり、各社が公式に発表した効率指標ではない点は留意してほしい。

項目 テスラ BYD
2025年末の店舗数 29拠点 68拠点(準備中含む)
2025年の販売台数 約1万600台 3,742台
1店舗あたり年間販売 約366台(独自算出) 約55台(独自算出)
出店方式 直営 フランチャイズ(代理店)
目標 60拠点以上(2027年) 100店舗(2025年)
目標達成率 未達(35拠点時点で58%) 77%(2026年9月時点77拠点)

BYDが2022年に自ら掲げた「1店舗300台」という目標に照らせば、55台という実績はその5分の1にも届いていない。それでも2025年の実績は過去最高であり、輸入車ブランド全体の順位では17位に浮上し、シトロエンやルノーを上回った。2026年に入ってからのデータでも傾向は大きく変わらない。2026年1〜9月のBYD日本の販売(登録車3,263台とRACCO648台の合計3,911台)を、2026年9月時点の77拠点で割り、9か月分を単純に12か月換算すると、1拠点あたり年間ベースで約68台にとどまる。拠点数が77へ増えても、1店舗あたりの稼働度はまだテスラの水準には遠い。

店舗数で勝るBYDが販売効率で劣る理由は、FC方式ゆえに加盟店の規模や立地、営業力が一律でないことに加え、ブランドとしての認知・信頼がまだ輸入車大手に及んでいないことが大きい。BYDは2026年に軽EVの「RACCO」を含め8車種体制へ拡大する計画を示していたが、2026年10月時点で実際に投入されているのは6モデルにとどまる。BYDの全車種を比較したガイドでも触れているとおり、1店舗あたりが扱える商品の幅も限られている。

BYD15万円、テスラ127万円補助

テスラ日本店舗60拠点へ拡大、BYD77拠点と販売網比較
出典: S&P Global Autotech Insight

価格帯の比較

車両価格と補助金を並べると、両ブランドの立ち位置の違いがさらに見えてくる。BYDは2026年10月時点で、軽BEVの「RACCO」が214.5万円から、「DOLPHIN」が299.2万円から、「SEALION6」のPHEVが398.2万円から、「ATTO3 EX」が437.8万円から、「SEAL」が495万円から、2026年7月に3.3万円値上げされた「SEALION7」が498.3万円からという価格帯で6モデルを展開する。全車がリン酸鉄リチウムの「ブレードバッテリー」を搭載し、駆動用バッテリーの保証は8年15万キロメートルだ。

テスラは「Model 3」が511万円から726万円、「Model Y」が534万円から833万円、2026年4月に追加された上級モデル「Model Y L」は749万円からとなっている。車両本体の価格帯だけで見ると、BYDはテスラより総じて手が届きやすい価格に設定されている。

補助金で見る実質負担

国の補助金を加味すると差は縮む方向にある。BYDのBEVは2026年度のCEV補助金(国)が全車種15万円にとどまる。これはBYDが2022年の参入時に受けていた65万円から、2024年度に35万円、2026年度に15万円へと段階的に減額された結果だ。一方でテスラは新型の「Model 3」「Model Y」が87万円、より高価格な「Model Y L」は上限に近い127万円の補助対象になったと報じられている。国は2025年12月にCEV補助金制度自体の見直しを発表し、2026年1月以降の登録分からEVの上限額を90万円から最大130万円へ引き上げる方針も示している。

補助金 BYD(BEV全車種) テスラModel3/Y テスラModel Y L
2026年度CEV(国) 15万円 87万円 127万円
東京都ZEV(2026年7月以降登録) 40万円(RACCO含む全車種) 車種により異なる 車種により異なる
車両本体価格帯 214.5万〜575.3万円 511万〜833万円 749万円

東京都のZEV補助金では、BYDのBEVは全車種で40万円の補助を受けられる。これは基本額20万円に、外部給電機能への加算10万円、BYD独自の上乗せ10万円を足した金額で、個人が太陽光発電設備などを併設しない場合の数字だ。「上限130万円」という数字が独り歩きしがちだが、これは国産車の一部グレードに適用される最大値であり、BYD車には当てはまらない。国と都の補助金を合算すると、BYD車は購入時点の実質負担を大きく下げられる構造になっている。

輸入EV3万台、拡大する市場

テスラとBYDの競争は、縮小する日本車市場の中で起きているわけではない。2025年の輸入車の新車登録台数は24万3,129台で、前年比7.0%増と2年ぶりに増加した。その中で輸入EVは前年比33.9%増の3万3,299台となり、初めて3万台を超えた。2025年10月末時点で、輸入EVは22ブランド・173モデルにまで裾野を広げている。

一方で、日本全体のEV販売は2025年通期で6万677台、前年比1.6%増とほぼ横ばいだった。乗用車全体に占めるEVのシェアも約1.6%に過ぎない。つまり国産EV(リーフやサクラなど)が足踏みする一方で、輸入EVだけが高成長を続け、全体のパイの中でシェアを奪う構図になっている。新興勢力のヒョンデも「インスター」が前年比89.2%増の1,169台を記録し、この輸入EV争奪戦に加わってきた。

このことは、テスラとBYDの「店舗競争」が見た目以上に厳しい前提の上にあることを示す。輸入EVという限られたカテゴリーの中でシェアを奪い合っており、どちらかが大きく伸びれば、もう一方の取り分がそのまま削られかねない関係にある。日本のEV充電環境についても、CHAdeMO規格の急速充電器は2026年6月末で14,553口まで増えており、充電インフラの最新状況は輸入EVの普及条件として両社に共通する課題だ。

充電インフラでは、テスラも自前のスーパーチャージャー網を急速に広げている。2026年7月時点で全国150拠点・744口に達し、150号店はセブン-イレブン川崎店内に設置された。コンビニチェーンとの提携1号店で、2027年までに1,000基超えを目指すという報道もある。店舗網と充電網をセットで自前展開できる点は、直営方式の強みがそのまま表れた部分と言える。

リコール11万台、BYDの火種

BYD側のリスク

拡大基調の裏側で、両社とも品質面の火種を抱えている。BYDは2025年10月、中国本土で合計11.5万台規模のリコールを実施した。内訳はハイブリッド「唐(Tang)」旧型の約4.4万台で駆動モーターコントローラー基板の焼損リスク、EV「秦(Yuan)Pro」の約7万台でバッテリーの防水設計不良による出力低下リスクだった。いずれも日本で販売中の「DOLPHIN」「ATTO3」「SEAL」「SEALION」系とは別モデルだが、ブランド全体の品質イメージに影響しうる出来事だ。輸出先での納車時の傷など、物流品質面の課題を指摘する海外報道もある。

テスラ側のリスク

テスラ側にもリスクがある。2025年はマスクCEOの政治的な言動が世界的な逆風となり、同年第2四半期の世界販売は前年同期比13%減と過去最大級の落ち込みを記録した。ただし日本単体では2025年通期で前年比9割増という対照的な結果が出ており、日本市場はマスク氏に対する評価とは一定の距離を置いて動いている可能性がある。

BYDのフランチャイズ網についても、加盟店の採算性への懸念が海外メディアで指摘されている。1店舗あたりの販売効率が自社目標の5分の1にとどまっている現状を踏まえれば、看板を掲げた代理店がどこまで収益を確保できているかは、今後の出店ペースを左右する重要な論点になる。閉店が続いた背景と「撤退説」の真偽は、時系列で検証している。→ BYD日本撤退は本当?閉店の理由

BLADE NOTEの見立て

単純な店舗数の比較は、この競争の実態を正しく映さない。BYDが掲げる「100店舗」という目標は分かりやすい分、話題にしやすいが、達成率を追うだけでは意味がない。本当に見るべきは1店舗あたりの稼働度であり、その指標ではテスラがBYDを大きく上回っている。この差が縮まらない限り、BYDが店舗数で追いついても「勝った」とは言えない。

もう一つ重要なのは、両社が奪い合っているのが「輸入EV」という限られたパイだという点だ。国産EVが伸び悩む中、輸入EVの3万台強という市場規模自体がまだ小さく、テスラとBYDのどちらかが大きく伸びれば、もう一方の成長余地はそのまま狭まる。店舗数の拡大競争は、裏を返せばこの小さなパイをめぐる陣取り合戦でもある。

2026年の補助金再編は、この構図に影響を与えうる変数だ。BYDへの国の補助金が15万円まで縮小した一方、テスラの新型車には87万円から127万円という高水準の補助が付いている。価格面での「BYD=安い、テスラ=高い」という従来の構図が、補助金込みの実質負担で見るとやや縮小している可能性がある。ただし、この補助金の減額がBYDの販売にどこまで影響したかという因果関係は、公開データだけでは裏付けが取れていない。今後の販売台数の推移を見て判断すべき論点だ。

ヤナセの参入は、BYDにとって「数」より「質」を問われる段階に入ったことを示している。78店舗(2026年10月時点)という数字をどう伸ばすかより、既存の輸入車ディーラーをどれだけ取り込み、1店舗あたりの販売力を上げられるかが、次の100店舗到達より重要な指標になるはずだ。テスラが掲げた「2027年に輸入車No.1」という目標も、現状の約5倍という台数差を踏まえれば相当に高いハードルであり、本稿の時点ではその実現可能性を検証する材料はまだ揃っていない。次の判断材料は、2026年末の店舗数と2027年前半の販売実績だろう。実車を見て見積もりを取るなら、最寄りの正規ディーラーを都道府県から探せる。→ BYD正規ディーラー検索

出典

2026年10月24日: ヤナセ系BYD店舗の開業を2026年7月11日(BYD AUTO 横浜南)と更新しました。

2026年10月24日: 販売店数を最新値(BYD Auto Japan公式の店舗一覧で2026年10月24日時点78店舗、営業中60・開業準備中18)に更新しました。

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BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの価格・補助金・販売店の情報を、メーカー発表や官公庁資料などの一次情報をもとに日本語で整理しています。記事作成には AI を活用し、数値と事実関係は編集部が一次資料で確認しています(編集方針)。