BYD充電網5,715基突破 – 砂漠実証で示す急拡大の本気度NEW
27日で5,000基、そこから1か月足らずで5,715基。BYDが中国国内で展開する「フラッシュ充電(超急速充電)」ステーションの拡大ペースが、業界の想定を上回る速度で進んでいる。中国メディアAutohomeによれば、内モンゴル自治区アラシャー盟のテングリ砂漠に設置された「Sha15」拠点で、商用車「FCB Tai 3」を使った充電実証も行われた。砂漠地帯という極限環境を選んだ意味と、ここまでの拡大ペースが示すBYDの本気度を整理する。
テングリ砂漠「Sha15」での実証 – 5分急速、9分で満充電
実証はFCB Tai 3を現地に持ち込み、砂塵と強風が吹き付けるなかで行われた。スタッフが提示した数字は「5分で急速充電、9分で満充電」。テングリ砂漠は寒暖差と砂塵の両面で条件が厳しく、都市部や高速道路サービスエリアの拠点とは前提がまるで違う。
BYD側は砂漠下での標準試験条件を細かく公表していない。実際の充電性能は車両側のSoC(充電状態)や電池温度、外気温の影響を強く受けるため、提示された秒数をそのまま量産車のカタログ値として読み替えるのは早い。ただし、こうした極限地点で動かせるステーション設計を持っていること自体が、BYDの設置可能エリアの広さを示すメッセージになる。輸出先の砂漠地帯や寒冷地での運用も視野に入っているとみていい。
27日で5,000基、5月時点で5,715基 – 異例の拡大ペース
BYDのフラッシュ充電プログラムは2026年4月初旬にスタートし、わずか27日で5,000基に到達した。さらに5月の連休期間には、中国国内の累計拠点が5,715基に達したと同社が確認している。1か月足らずで715基を追加するペースは、急速充電網の歴史を見ても突出している。
主要プレイヤーとの差は明確だ。テスラのスーパーチャージャーが世界5,000基を超えるまでに10年近くかかった。BYDは中国一国でその規模をひと月で上塗りした計算になる。中国EV市場が成熟期に入り、競争軸が「車両性能」から「充電体験」「ネットワーク規模」へシフトしつつあるなかで、BYDは充電網そのものをブランド資産化しようとしている。
| 時期 | 累計拠点数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2026年4月初旬 | 5,000基 | プログラム開始から27日で到達 |
| 2026年5月(連休期間) | 5,715基 | 約1か月で715基追加 |
| 海外計画 | 6,000基 | 展開予定(具体時期未公表) |
海外6,000基構想とDenzaの欧州展開
BYDは中国国内だけでなく、海外でもフラッシュ充電ステーションを6,000基展開する計画を表明している。欧州ではプレミアムブランド「Denza」のZ9 GTやD9を投入する動きが進んでおり、車両と充電網をセットで持ち込む戦略が透ける。プレミアム帯の購買層ほど充電のストレスを嫌うため、自社網のカバレッジは販売の決め手になりやすい。
日本市場という観点では、BYD Auto Japanが展開するATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7、RACCOはCHAdeMOと既存の国内充電網を前提に投入されている。海外6,000基計画に日本が含まれるかは公表されておらず、現状は別線の話だ。800Vアーキテクチャを前提とした車種が将来日本へ入ってきた場合、自社網の有無がどこまで競争力に直結するかは別途見極める必要がある。
販売減速のなかでの投資判断
BYDの足元は楽観できる状況ではない。China EV DataTrackerによれば、2026年4月のグローバルEV販売は314,100台で、前月比6.2%増だが前年同月比は15.7%減。前年比マイナスは8か月連続となった。海外販売は伸びているものの、中国国内の価格競争が全体数字を押し下げている。
販売が頭打ちの局面で充電網への投資を加速させる判断は、短期の販売数値よりも中長期のロックイン効果を取りに行くものだ。自社の高出力充電に対応した車両を売り、自社網で囲い込む。テスラが10年かけて築いた構図を、BYDは数年で組み上げにかかっている。砂漠での実証は派手な広報イベントに映るが、本筋は裏で積み上がる拠点数のほうだ。次の焦点は、海外6,000基計画の最初の着工地点がどこになるか。
出典
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