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中国NEV輸出が前年比140%増 – BYD・Geely・新興勢が描く勢力図NEW

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中国EV: 中国NEV輸出が前年比140%増 – BYD・Geely・新興勢が描く勢力図
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34万9000台。2026年3月の中国新エネルギー車(NEV)輸出台数だ。前年同期比139.9%増という数字は、中国がもはや「世界の工場」から「世界のEVサプライヤー」へ完全に軸足を移したことを物語る。同月の中国自動車輸出全体は69万5000台で、NEVがその約半数を占めた。わずか数年前までNEV比率は2〜3割だったことを考えると、構成比の変化は劇的だ。

原油高がEVシフトを加速

この急増には、ホルムズ海峡の供給混乱に端を発した世界的な原油価格高騰が追い風になっている。デロイトの調査によれば、ガソリン価格が1ガロンあたり1ドル上昇するとEV販売は約6%伸びるという。実際、オーストラリアではガソリンが1リットル2豪ドル未満から約2.5豪ドルに跳ね上がり、軽油は3豪ドルを突破。EV関連の問い合わせは約50%増加した。

ニュージーランドでもガソリンが約10%、軽油が20%以上値上がりしている。燃料コストの上昇が消費者心理を直撃し、中国製EVへの関心が一気に高まった格好だ。

メーカー別輸出実績 – Geelyの伸びが異常値

主要メーカーの3月実績を見ると、勢力図の変化が鮮明になる。

メーカー 3月海外販売(NEV) 前年同期比 備考
BYD 12万台 +65.2% 2026年輸出目標を150万台に上方修正
Geely(吉利) 5万1000台(NEV) +479% 海外販売全体は8万1000台(+120%)
Leapmotor(零跑) 1万6000台 前月比+77.8% Stellantis販路を活用
GAC Aion(広汽埃安) 1万1000台 +175% 東南アジア中心に拡大

BYDは依然として絶対数でトップを走る。一方、GeelyのNEV輸出は前年比479%増と異常な伸びだ。Volvo、Polestar、Zeekr、Lynk & Coといった傘下ブランドの欧州展開が本格化し、グループとしての海外販売力が一段階引き上がった。年間300万台超の生産規模を持つGeelyが輸出を本気で仕掛け始めた影響は大きい。

新興勢も存在感を増している。LeapmotorはStellantisの20%出資と欧州販路を武器に月1万6000台まで規模を拡大。GAC Aionも前年比175%増と急伸した。BYD一強だった中国NEV輸出の構図が、明確に多極化しつつある。

豪州で日本メーカーの牙城が崩れた

象徴的な出来事がオーストラリアで起きた。中国ブランドの市場シェアが25%に到達し、28年間続いた日本メーカーの首位が終わった。燃料高騰がきっかけとはいえ、価格競争力のある中国製EVがシェアを奪い取った構図は、他の先進国市場でも再現されうる。

BYDは2026年の輸出目標を当初の130万台から150万台に引き上げた。日本市場でも3月の販売台数が倍増しており、ATTO 3やDOLPHINを中心にSUVとコンパクトカーの2本柱で着実に認知を広げている。補助金適用後の実質価格が300万円台前半に収まるDOLPHINは、軽自動車からの乗り換え層にも訴求し始めた。従来閉鎖的とされてきた市場にも、確実に風穴が開いている。

急成長の裏にある構造的課題

ただし、死角もある。コロンビアではBYD Dolphinの価格が約1億7000万コロンビアペソ(約4万5300ドル)。現地の平均所得を大幅に上回る水準だ。中国国内では「国民車」的な価格帯の車種が、海外では関税や輸送コストの上乗せで大衆の手が届かない。部品供給の遅延や修理期間の長期化も報告されており、アフターサービス網の構築が輸出拡大のボトルネックになりかねない。

豪州政府は3カ月間の燃料税一時減税(1リットルあたり0.26豪ドルの引き下げ)を導入した。業界アナリストは、消費者の行動が持続的に変わるには数カ月にわたる原油高が必要で、短期的な価格急騰だけでは大規模なEVシフトにはつながらないと見る。原油価格が落ち着けば、足元の追い風が弱まる可能性はある。

それでも数字は明確だ。中国の自動車輸出に占めるNEV比率は約50%に達し、NEVの輸出成長率は全体を大きく上回る。Geelyの479%増が示すように、BYD以外のプレーヤーが急速に海外戦略を整えている。中国NEV輸出の第2幕は、群雄割拠の展開になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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