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方程豹がセダンとスポーツカーに進出 – BYDマルチブランド戦略の全貌NEW

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方程豹がセダンとスポーツカーに進出 – BYDマルチブランド戦略の全貌

オフロードSUVで名を馳せたブランドが、セダンとスポーツカーという未知の領域に踏み出す。BYDのサブブランド「方程豹(Fang Cheng Bao)」が2026年北京オートショーで披露した新モデル群は、同ブランドの方向性を大きく塗り替えるものだった。

SUV専業からの脱却——Formula Sシリーズの狙い

方程豹はBYDが展開する5つ目のサブブランドだ。Denza(騰勢)、仰望(Yangwang)、王朝シリーズ、海洋シリーズに続く位置づけで、「パーソナライゼーション重視」を掲げている。現行ラインナップはオフロード志向のBao 5・Bao 8、ファミリー向けのTai 3・Tai 7というSUV4車種。水上走行や超加速といった派手なデモンストレーションで注目を集めてきた。Bao 5は2024年の発売以降、月販5,000〜8,000台で推移しており、方程豹ブランド全体では2025年に約10万台を販売している。

そのブランドが初のセダン「Formula S」シリーズを発表した。展開は3構成。スタンダードな3ボックスセダンの「Formula S」、シューティングブレーク形状の「Formula S GT」、そしてやや大型の「Formula SL」。Electrekの報道によれば、いずれも全長5m超、全幅2m超、ホイールベース3mという堂々たるサイズで、2026年第3四半期の発売を予定している。

デザインはBYDが「黄金比ボディ」と呼ぶローアンドワイドなプロポーション。チーターの狩猟姿勢を模したというスタンスに、「チーターアイ」ヘッドライトと「インフィニティリング」テールライトを組み合わせた。ランボルギーニやマクラーレンを想起させるスーパーカー的造形で、ボディにはフルカーボンファイバーを採用し軽量化も図っている。

Formula X——量産スポーツカーという野心

セダン以上にインパクトがあったのが、2シーターの量産スポーツカー「Formula X」だ。BYDによれば展示車は「実車の80%を再現」しており、Formula Sセダンシリーズの頂点に位置づけられる。発売は2027年を見込む。

方程豹がスポーツカーを手がける意味は小さくない。BYDグループにはすでに仰望U9という電動ハイパーカーが存在するが、あちらは168万元(約3,500万円)からの超高級路線。Formula Xは方程豹の「パーソナライゼーション」というブランドコンセプトの延長線上にあり、より幅広い層にリーチする可能性がある。

5ブランド体制と競争環境

BYDのマルチブランド戦略を俯瞰すると、各サブブランドの棲み分けがより鮮明になってきた。王朝・海洋シリーズがボリュームゾーンを担い、Denzaがプレミアムミニバン・SUV、仰望が超高級、そして方程豹が「個性」を軸にSUVからセダン、スポーツカーまでを横断する。方程豹だけでもSUV4車種に加えセダン3構成とスポーツカーの計8モデルを短期間で投入する計画で、開発リソースの厚さが際立つ。

この構造はトヨタがレクサスやGRブランドで展開する多層戦略に通じる。トヨタの場合、レクサスの独立から約30年かけてブランド認知を確立し、GRはモータースポーツ実績を軸に展開してきた。一方BYDは5ブランドをほぼ同時並行で立ち上げており、各ブランドが独自の顧客基盤を築けるかが課題となる。BYDグループ全体の2025年販売台数は約427万台に達したが、方程豹の構成比はまだ2%台にとどまる。

中国プレミアムEV市場の競争も激しさを増している。NIOはET7やET5でプレミアムセダン市場を開拓し、Zeekrは001や007でスポーティ路線を打ち出している。Xiaomi SU7は発売初年で13万台超を販売した。SUV専業のままでは成長余地が限られる中、方程豹がセダンとスポーツカーに打って出るのは市場環境への対応でもある。

ブランド数の増加に伴い、消費者の認知分散も避けられない。中国国内では販売網の厚さで補えるが、海外展開では事情が異なる。日本市場ではBYD本体の月販台数が2025年時点で500〜800台程度と、ATTO 3やDOLPHIN、SEALの浸透に取り組んでいる段階だ。方程豹のような独立ブランドが日本に入ってくるとすれば、BYD本体の年間1万台規模の定着が前提になるだろう。

Formula Sシリーズは2026年第3四半期、Formula Xは2027年の発売予定。方程豹の既存SUV4車種と合わせた8モデル体制が整う2027年末には、ブランド単体で年間20万台規模を目指すとみられる。まずは年内のFormula S予約状況が、セダン市場での競争力を測る最初の指標となる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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