BYD Denza Z発表 – 量販EVメーカーが放つ1000馬力ハイパーカーの狙い
0-100km/h加速2秒未満、1000馬力超——BYDが北京モーターショーで披露した「Denza Z」は、量販EVメーカーが本気でスーパーカー市場に殴り込みをかける宣言だ。
カーボンファイバーの4シートコンバーチブル
Denza Zは「Pure Emotion」をデザインテーマに掲げ、BYDのグローバルデザインディレクターであるヴォルフガング・エッガー氏が手がけた。エッガー氏はアウディやランボルギーニでデザインを統括した経歴を持つ。ボディにはカーボンファイバーを多用し、シートにも同素材を採用することで軽量化を徹底している。
ソフトトップの電動格納式ルーフを備えた4シーターコンバーチブルで、ボンネット上のエアダクトが高速走行時のダウンフォースを確保する。量産仕様の実車が展示されており、コンセプトモデルではない点が重要だ。
Blade Battery×Flash Charging 2.0で5分充電
パワートレインは1000馬力超。0-100km/h加速は2秒を切る。BYD独自のBlade Batteryに加え、新世代の「Flash Charging 2.0」を搭載し、わずか5分での充電が可能だとBYDは主張する。航続距離は同プラットフォームのDenza Z9 GTと同等のWLTP 599km前後になる見通しだ。
車体制御には仰望(Yangwang)U9と同じ「DiSus-M」インテリジェントボディコントロールシステムを搭載。高性能車向けに最適化されたこのシステムは、四輪独立制御によりコーナリング性能と乗り心地を両立させる。
なぜBYDがハイパーカーを作るのか
量販EVで世界トップの販売台数を誇るBYDが、なぜ少量生産のハイパーカーに参入するのか。背景には明確なブランド戦略がある。
テスラはかつて初代ロードスターでスポーツカーとしてブランドを確立し、そこからModel S、Model 3へと大衆化を進めた。BYDはその逆を行く。DOLPHIN、SEAL、ATTO 3といった量販モデルで「手頃なEV」のイメージを浸透させたあと、Denza Zで「技術の頂点」を見せる。フラッグシップの存在がブランド全体の価値を引き上げるという戦略だ。
BYDはDenza Zの発表に際し「世界の自動車産業にとって分水嶺となる」と宣言した。大げさに聞こえるが、100万ドル超の領域が欧州メーカーに独占されてきた事実を考えれば、中国メーカーの本格参入は確かに前例がない。
競合との位置づけ
ハイパーカー市場にはすでに電動勢が参入し始めている。テスラの次期ロードスターは長らく発売が延期されているが、0-100km/h加速1.9秒をうたう。Xiaomi SU7 Ultraはニュルブルクリンクで量産EV最速ラップを記録し話題を集めた。
| 項目 | Denza Z | Tesla Roadster(予定) | Xiaomi SU7 Ultra |
|---|---|---|---|
| 最高出力 | 1,000馬力超 | 非公開(推定1,000馬力超) | 1,548馬力 |
| 0-100km/h | 2秒未満 | 1.9秒(公称) | 1.98秒 |
| ボディ形態 | 4シートコンバーチブル | 2+2 タルガ | 4ドアセダン |
| 価格帯 | 未発表(Z9 GT超) | 約20万ドル | 約81.49万元 |
Denza Zが他と一線を画すのは「4シートコンバーチブル」という形態だ。テスラもXiaomiもクローズドボディで、オープンエアのグランドツアラーという立ち位置はフェラーリやマクラーレンの領域に近い。BYDは欧州の高級コンバーチブル市場を正面から狙っている。
欧州での価格はDenza Z9 GTの約11.5万ユーロ(約1,345万円)を上回る見込み。すでにニュルブルクリンクでテスト走行を実施しており、今夏のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでグローバルローンチを予定する。Standard、Convertible、Trackの3エディション展開で、各エディションの名称はユーザー公募で決定するという。
量販EVの信頼をフラッグシップで回収する
BYDの戦略は一貫している。Blade Batteryの安全性、e-Platform 3.0の800Vアーキテクチャ、DiSusの車体制御——量販モデルで培った技術を最上位モデルに集約し、ブランドイメージごと引き上げる。Denza Zの成否は販売台数ではなく、BYDというブランドが「高級車を作れるメーカー」として認知されるかどうかで測られることになる。グッドウッドでの正式発表は今夏。詳細スペックと価格はそこで明かされる。
出典
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