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BYD深圳工場で火災発生 – 廃棄車両保管庫に限定、株価は小幅安

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BYD: BYD深圳工場で火災発生 – 廃棄車両保管庫に限定、株価は小幅安
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2026年4月14日未明、深圳市坪山区にあるBYDの主要拠点で火災が発生した。中国SNS上では施設から立ち上る黒煙の映像が拡散され、一時的に市場の懸念を呼んだが、被害は限定的だったとみられる。日本を含む海外向け車両の供給にも影響はない見通しだ。

火災の経緯とBYDの公式回答

深圳市坪山消防当局によると、北京時間の午前2時48分に緊急通報を受け、消防隊が現場に急行した。火元はBYD坪山キャンパス内にある立体駐車場で、CnEVPostの報道によれば、BYDは「試験車両および廃棄予定車両の専用保管施設」と説明している。

BYDの公式声明では、消防による消火が完了し、人的被害はないと発表された。CarNewsChinaは証券時報などの報道を引用し、当該駐車場が実験車両や耐用年数を終えた車両の保管エリアであり、生産中や納車予定の車両とは無関係であることを確認している。出火原因は現時点で公表されていない。

坪山工場はBYDの本社所在地であり、年間生産能力は約60万台規模とされる主力拠点のひとつだ。同工場では主にDYNASTYシリーズ(秦・漢・唐など)の生産を担っているが、今回の火災は生産棟から離れた保管施設で発生しており、生産ラインや組立施設への延焼は確認されていない。BYDが早朝の段階で「操業への影響なし」と明言できた背景には、火元が生産工程と物理的に隔離された区画だったことがある。

なお、BYDが日本市場向けに販売しているATTO 3やDOLPHIN、SEALなどの車両は、主に常州工場や長沙工場で生産されている。坪山工場の火災が日本国内の納車スケジュールに影響を与える可能性は極めて低い。

株価の反応——0.91%安の背景

火災発生を受け、BYDの香港上場株は0.91%安の109.3香港ドルで推移した。下げ幅としては小さく、市場は「廃棄車両の保管庫」という説明を概ね冷静に受け止めた格好だ。

ただし、この株価反応を火災単体の影響と見るのは早計かもしれない。BYDは2025年通期の純利益が前年比19%減と発表しており、中国NEV市場での激しい価格競争が収益を圧迫している。2025年後半から続くテスラとの値下げ合戦に加え、NIOやXpengといった新興勢も低価格帯に参入し、BYDの利益率は構造的な圧力を受けている。株価の重さには、こうした業績面の不安がすでに織り込まれており、火災のニュースは既存のネガティブ材料に上乗せされた形だろう。

仮に今回の火災が保管庫ではなく生産棟に及んでいた場合、坪山工場の操業停止は月間数万台規模の生産減に直結し、株価への影響はこの程度では済まなかったはずだ。その意味で、0.91%という下落幅自体が「被害は限定的」という市場の判断を映している。

販売動向——国内減速と海外成長の二面性

火災は業績に直結するものではないが、BYDが置かれている事業環境を押さえておくと、今回の件がなぜ「小事」で済んだのかがより明確になる。

2026年3月のNEV販売台数は30万222台で、2月比では57.85%増と回復したものの、前年同月比では20.45%減。CnEVPostによれば、月次販売の前年割れはこれで7カ月連続となる。CarNewsChinaの集計では、3月の中国NEV市場における小売シェアは22.8%でトップを維持しているものの、テスラ中国が同月に約9万台を販売して追い上げを見せており、シェアの差は徐々に縮まりつつある。第1四半期の累計販売は70万463台だった。

国内販売の減速に対し、BYDは複数の手を打っている。2026年に入ってからDMI 6.0搭載の新型秦L・宋Plusを相次いで投入し、PHEV領域での競争力強化を図る。同時に、エントリー価格帯のSeagull(海鷗)を7万元台に据え置く戦略で、低価格セグメントでの顧客流出を食い止めようとしている。

一方、海外事業は好調を維持している。3月の海外販売は前年同月比65.12%増で、CarNewsChinaによれば月間約12万台に達した。BYD経営陣は2026年の輸出目標を当初の130万台から150万台に引き上げており、成長の軸足が海外にシフトしつつある。日本市場でも2025年に正規ディーラー網が全国90拠点を超え、ATTO 3を中心に月間販売台数は着実に伸びている。生産拠点が分散されていることは、今回のような局所的なトラブルが海外顧客に波及しにくい構造を意味する。

出典

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BLADE NOTE編集部
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