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ヒョンデが中国でIoniqブランド投入 – BYD一強市場への再挑戦

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中国EV: ヒョンデが中国でIoniqブランド投入 – BYD一強市場への再挑戦
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撤退寸前とまで言われた中国市場で、ヒョンデが反転攻勢に出る。同社は4月11日、EVブランド「Ioniq」の中国展開を正式発表した。4月下旬の北京モーターショーでは、中国専用の量産モデル第1弾もお披露目される。CnEVPostが報じた

「グローバル標準の横展開」から脱却

ヒョンデの中国戦略における転換点は、「In China, For China, To Global」というスローガンに集約される。これまで同社はグローバルモデルをそのまま中国に持ち込む手法を取ってきたが、BYDをはじめとする現地メーカーの猛攻の前に販売は低迷。ピーク時の2016年には中国で年間約114万台を販売していたヒョンデだが、その後は急落し、2023年には約25万台にまで縮小。中国工場の一部売却にまで追い込まれた。

今回の戦略では、中国現地のデザインセンターが主導する形で開発を進める。同時に発表された2台のコンセプトカー「Venus Concept」と「Earth Concept」も、中国チームが手がけたものだ。Venus Conceptは単一曲線のシルエットが特徴的なセダンタイプのBEV、Earth Conceptはファミリー向けSUVのBEVという位置づけになる。

こうした「現地主導」への切り替えは、ヒョンデに限った話ではない。フォルクスワーゲンはID.シリーズの販売不振を受けて中国のXpengと提携し、現地向けモデルの共同開発に舵を切った。トヨタもbZシリーズの苦戦から、広汽トヨタを通じた中国専用EVの開発を加速させている。外資系メーカーが軒並み「中国専用」路線に転じるなか、ヒョンデの動きはこの潮流に沿ったものだ。

自動運転とEREVで中国市場に最適化

ハードウェアだけでなく、ソフトウェア面でも中国への最適化を進める。ヒョンデは中国の自動運転スタートアップMomenta(モメンタ)と提携し、中国の道路環境に適応した運転支援システムを開発中だ。Momentaは2024年にトヨタからも出資を受けた企業で、都市部のナビゲーション支援やバレーパーキング機能に強みを持つ。中国のEV市場では高度な運転支援機能が購入決定の重要な要素になっており、XPENGのNGPやNIOのNADなど、現地勢が先行している領域でもある。

さらに、EREV(レンジエクステンダー付きEV)技術の投入も計画に含まれている。Li Auto(理想汽車)がEREVで年間約50万台を売り上げるなど、中国ではBEV一辺倒ではなくEREVの需要も根強い。充電インフラが十分に整っていない地方都市では航続距離への不安が根強く、EREVはその実用的な解となっている。ヒョンデがこの市場に切り込むのは合理的な判断と言える。

「Ioniq Universe」で差別化を狙う

ヒョンデは中国向けIoniqモデルに太陽系の惑星名を冠する独自の命名規則を採用する。「Ioniq Universe」と名付けたエコシステムを構築し、ブランドへの愛着を高める狙いだ。今後3年間で、SUVとクーペスタイルのBEV・EREVをミドル〜ラージセグメントに投入する計画も明らかにしている。

ただし、その道のりは平坦ではない。中国の新エネルギー車市場ではBYDが2025年に年間約425万台を販売し、圧倒的なシェアを握る。NIO、XPENG、Zeekrといった新興勢力も着実に地盤を固め、Stellantisの出資を受けたLeapmotor(零跑汽車)のように海外メーカーと中国メーカーの提携モデルも増えてきた。ヒョンデが再び存在感を示すには、「中国専用」の看板に見合う商品力とスピード感が不可欠になる。

北京モーターショーが最初の試金石

量産第1弾の詳細はまだ明かされていないが、北京モーターショーでの反応がヒョンデの中国再挑戦の行方を占うことになる。価格帯やスペック次第では、BYD SeaLionシリーズやXPENG G6といった売れ筋モデルと直接競合する展開もあり得る。コンセプトカー2台のデザイン評価も含め、中国市場がヒョンデの本気度をどう受け止めるか。答えは今月末に出る。

なお、ヒョンデは日本でもIONIQ 5やIONIQ 6をオンライン販売しており、アジア全体でのEV戦略を再構築している段階だ。中国で開発された専用モデルの技術やデザインが、将来的に日本を含むアジア各国へ波及する可能性もある。日本ではBYDがATTO 3やDOLPHINなど手頃な価格帯のEVで着実に販売を伸ばしており、ヒョンデが中国で得た知見をどう他市場に活かすかも見どころになる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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