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L9 Livisとは理想L9の上位モデル、価格50.98万元NEW

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L9 Livisとは理想L9の上位モデル、価格50.98万元

「L9 Livis(エルナイン・リビス)」は、中国Li Auto(理想汽車)が2026年5月15日に発売した、フラッグシップEREV(レンジエクステンダー式EV)SUV「L9」改良型の上位グレード名だ。価格は509,800元(キャンペーン適用で489,800元)で、下位グレード「Ultra」は459,800元(同439,800元)。

日本での正規販売は発表されておらず、海外展開は2026年第3四半期以降、UAEなど中東が先行している。

L9 Livisとは理想L9の上位版

まず整理したいのは、「L9 Livis」は新車種ではないという点だ。Li Autoの看板モデル「L9」の2026年型改良版が、価格帯を2段階に分けて売られるようになり、その上位側のトレード名が「Livis」、下位側が「Ultra」という構成になった。2022年8月に納車が始まった初代L9は459,800元の単一グレードだったが、改良型はUltra 459,800元・Livis 509,800元の2グレード展開に変わっている。

Li Autoはこの2グレード化を、価格帯を広げてより多くの顧客層を取り込むための戦略転換と位置づけているとみられる。中国の新興EV・EREVメーカーは中国EVメーカー一覧でも触れているように、価格競争とグレード細分化で販売台数を競う展開が続いており、Li Autoもその流れの中にいる。

価格は50.98万元 旧型比9%引き

L9 Livisとは理想L9の上位モデル、価格50.98万元
出典: CarNewsChina

価格が確定するまでには段差があった。2026年2月6日、工業情報化省(MIIT)への新車認証申請(備案)の段階では559,800元という数値が報じられていた。これが実際の発売時には509,800元(Livis)・459,800元(Ultra)に落ち着き、申請時点の想定から約9%引きになったかたちだ。さらに発売直後から6月30日までは2万元の発売記念キャンペーンが実施され、実質価格はLivisが489,800元、Ultraが439,800元まで下がった。

1元を約23.5円(2026年10月時点)で換算すると、Livisの509,800元は約1,198万円、Ultraの459,800元は約1,081万円に相当する。キャンペーン価格ならLivisが約1,151万円、Ultraが約1,034万円となる計算だ。ただしこれはあくまで参考換算で、日本での正式販売価格ではない。

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72.7kWhで純電動420km

スペックの伸び幅は小さくない。初代L9(2022年)はバッテリー容量44.5kWhの三元リチウムイオンで、CLTC基準の純電動走行距離は215km、総合航続距離は1,315kmだった。レンジエクステンダーは1.5T直4エンジン、デュアルモーターの総出力330kW・トルク620N・mで、0-100km/h加速は5.3秒。これに対し2026年型Livisは、CATL製の三元NMCバッテリーを72.7kWhまで増量(約63%増)し、CLTC純電動距離は420kmとほぼ倍増、総合航続距離も1,650kmに伸びた。0-100km/h加速は4.9秒に短縮されている。

CLTCとWLTCの違い

CLTC(中国の統一軽量化試験サイクル)は中国国内専用の燃費・航続距離測定方式で、日本やEUで使われるWLTCより実走行条件が穏やかなため、同じ車でも数値が大きく出やすい。Li Autoは燃料消費量についてはWLTC条件でも6.3L/100kmという値を示しており、CLTCとWLTC両方の数値を併記している点は比較的珍しい。バッテリー技術の基礎はバッテリー技術ガイドで解説している通り、容量(kWh)がそのまま走行距離に直結するわけではなく、車重や空力、モーター効率も影響する。

注意したいのは、申請段階(2026年2月)のスペックと発売後に出ている数値に相違がある点だ。MIIT申請ベースの報道では純電動距離332~340km(ホイールサイズにより変動)、エンジンは1.5L・最大115kWの「L3E15CA」型、車重2,755~2,835kgとされていた。発売後の公式発表では純電動420kmに上方修正されており、これが量産最終スペックとの差なのか、別の理由があるのかを明確に説明した公式資料は確認できていない。

項目 初代L9(2022年) L9 Livis(2026年)
価格 459,800元 509,800元
バッテリー容量 44.5kWh 72.7kWh
CLTC純電動距離 215km 420km
総合航続距離 1,315km 1,650km
0-100km/h 5.3秒 4.9秒
チップ構成 非公表 Mach M100×2(5nm、合計2,560TOPS)

2,560TOPSの演算力とは

Livisの売りの一つが、Li Auto自社開発の車載チップ「Mach M100」を2基搭載し、合計2,560TOPSの演算性能を確保した点だ。TOPS(Tera Operations Per Second)は「1秒間に何兆回の演算ができるか」を示す指標で、自動運転やAI音声アシスタントのように、カメラ・LiDAR・マイクなど複数センサーの情報をリアルタイムで処理し続ける用途では、この数値が大きいほど複雑な判断を速く下せる余地が生まれる。5nmプロセスというのは半導体の製造技術の細かさを示す単位で、同じ面積により多くのトランジスタを詰め込めるため、高性能と省電力を両立しやすい。

2基構成の意味

1基の超高性能チップに全処理を任せるのではなく2基に分けて積む構成は、片方が自動運転の認知・判断処理、もう片方が車内のAIアシスタントや表示系の処理を担うといった役割分担を想定したものとみられる。処理を分散させることで、どちらかの負荷が急増しても全体がもたつきにくくなる利点がある。

Mach M100を2基搭載し、自動運転系と車内AI系に演算を分担させる構成イメージ。
Mach M100を2基搭載し、自動運転系と車内AI系に演算を分担させる構成イメージ。

足回りも刷新され、800V基準のアーキテクチャに全輪独立のアクティブサスペンションを組み合わせた。操舵をステアリングとタイヤの間で機械的に直結させず電気信号で制御する「ステアバイワイヤ」、油圧の代わりに電子制御でブレーキ力を生む「電子機械式ブレーキ(EMB)」も採用している。いずれも応答速度や制御の自由度を上げやすい技術だが、機械的な冗長性をどう確保するかが設計上の論点になりやすい部分でもある。

出力・トルクの数値にも記事間で相違がある。申請ベースの報道は旧型と同じ「330kW・620N・m」としているが、発売後の中国語記事の一つは「総合最大出力420kW・最大トルク710N・m」と報じている。この420kW・710N・mはLi Auto公式のプレスリリース原文では直接確認できておらず、単一の二次ソースにとどまる。現時点では両方の数値が流通している状態と理解しておくのが妥当だろう。

初期受注の90%がLivis選択

L9 Livisとは理想L9の上位モデル、価格50.98万元
出典: CnEVPost

発売後の反応として目立つのが「新規L9購入者の90%が上位グレードのLivisを選んだ」という報道だ。ただしこれは発売後72時間の初期受注データに基づくもので、全国・全期間を通じた確定販売統計ではない。同じ報道では、発売直後に店舗平均で受注が20件増え、来店数が30%増えたという情報も伝えられているが、具体的な総受注台数は明記されていない。

参考値としてLi Auto全体の2026年4月の月間納車台数は34,085台で、前年同月比0.4%増。改良型L9の発売はこの販売を上積みする狙いがあったとみられるが、90%という比率の持続性は今後の月次データで確認する必要がある段階だ。

海外展開はUAEが先行 中東軸

海外版の展開は2026年第3四半期から始まり、対象は中央アジア・中東が先行するとされていた。実際にUAEでは2026年9月4日、ドバイで正式ローンチが行われた。価格はUltra版がAED 319,900(約8万7,100ドル)、Livis版がAED 359,900。中国本土のUltra価格(約6.78万ドル)と比べると、UAE価格は1.3倍前後に跳ね上がっている。関税や現地仕様追加、販売網構築コストが上乗せされた結果とみられる。

正規販売は現地大手ディーラーグループAl Fahim Groupの一員であるAl Fahim Motorsが担う。興味深いのは、正規販売網が整うより前の段階で、並行輸入(グレーインポート)価格として246,000~297,000AED(輸入関税別)という情報が買い手向けガイドで流通していたことだ。正規ルートが確立する過渡期特有の状況と言える。

同ガイドはまた、UAEのような40~50℃の高温環境でエアコンを使い続けると、実際の航続距離が公表値の60~70%(220~290km)まで落ち込むと報告している。これは独立機関の検証試験ではなく、買い手向けガイドサイトの推定値である点は踏まえておきたい。砂塵や高温に対応するための充電・空調制御の最適化が施されているとされるが、具体的な検証データは確認できていない。

AITO M9との価格・性能比較

同時期に改良版を出したHuawei系「AITO M9(問界M9)」とは価格帯が近い。2026年5月27日発売のM9標準版は479,800元で、L9 Livis(509,800元)とほぼ同じレンジにある。

項目 L9 Livis AITO M9標準版
価格 509,800元 479,800元
CLTC純電動距離 420km 750km(EV版バッテリー120kWh)
最大出力 330kW(申請値。発売後報道では420kWとも) 約903馬力(トリモーター)
演算性能 2,560TOPS(自社Mach M100×2) 非公表
特徴 800V全輪独立サスペンション トリモーター4WD

単純な数値比較ではM9の純電動距離・出力が優位に見えるが、L9側は自社開発チップによる演算性能と足回りの電子制御を押しの材料にしている。どちらが「買い」かは用途次第で、本記事では優劣を断定しない。

BLADE NOTEの見立て

まず価格の段差について。申請時559,800元→発売509,800元という流れは、Li Autoが当初想定より強い価格で勝負に出ようとしたものの、Huawei系AITO M9のような強力な競合の存在を見て土俵を下げた可能性がある。M9標準版が479,800元というほぼ同価格帯に設定されてきたタイミングを考えると、Li Autoが「価格で見劣りしない」ラインを探りながら最終価格を固めたと見るのは無理のない読み筋だろう。

次に気になるのが、申請スペックと発売後スペックの相違だ。純電動距離が332~340kmから420kmへ、出力表記も330kW・620N・mと420kW・710N・mの二つが混在している。これを単なる「量産最終調整」と見るか、それとも発表のタイミングによって異なる仕様のモデルが存在するのか、公式が明確に説明していない以上、現時点では判断を保留するしかない。ただ、複数の数値が併存したまま市場に出ている状態は、情報の透明性としては褒められたものではない。

日本市場への含意については、むしろ「来ない理由」の方が明確だ。EREV(レンジエクステンダーEV)というカテゴリー自体、日本のCEV補助金制度はBEV・PHEVを主軸に設計されており、L9のような中国限定の駆動方式がそのまま当てはまる枠組みがない。加えてLi Autoの海外展開は中央アジア・中東を優先しており、右ハンドル市場かつ安全基準・認証コストが高い日本に優先的にリソースを割く動機は薄い。UAEでの価格が中国本土の1.3倍に跳ね上がった事例を見ても、新興市場でのブランド確立と収益確保を優先するフェーズにあることがうかがえ、日本進出はその先の話になりそうだ。

「90%がLivisを選んだ」という数字も、鵜呑みにするには早い。発売直後72時間という限られた窓で、話題性に引かれた初期ユーザーが上位グレードに流れるのはよくある現象で、半年後の実売比率がどこに落ち着くかを見てから評価すべきだろう。次の指標は、Li Autoが8月以降の月次納車データでLivis比率をどう公表するかだ。

出典

BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの価格・補助金・販売店の情報を、メーカー発表や官公庁資料などの一次情報をもとに日本語で整理しています。記事作成には AI を活用し、数値と事実関係は編集部が一次資料で確認しています(編集方針)。