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Leapmotor海外販売比率60%へ – Stellantis提携から3年の軌跡と今後NEW

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Leapmotor海外販売比率60%へ – Stellantis提携から3年の軌跡と今後

海外販売比率36%超——中国の新興EVメーカーとしては異例の数字だ。Leapmotor(零跑汽車)が掲げる「海外比率60%」という目標は、同社がもはや中国市場だけを見ていないことを明確に示している。

Stellantis提携が開いた欧州への扉

Leapmotorの海外展開を語るうえで、2023年のStellantis出資(20%)は転換点だった。資本提携にとどまらず、Stellantisが持つ欧州・中東・アフリカの販売網をそのまま活用できる枠組みを手にした。中国EVメーカーの多くが自前でディーラー網を構築する中、Leapmotor はパートナーの既存インフラに乗る戦略を選んだ。

この判断が奏功し、欧州では早期に販売実績を積み上げた。現在、ドイツと英国が海外販売の上位を占める。欧州市場で中国ブランドへの警戒感が強まる中でも、Stellantisという「欧州の顔」を通じた展開が一定の信頼を獲得している格好だ。

2026年の急成長——年間100万台は射程圏内か

創業者兼CEOの朱江明氏は、2026年の年間販売100万台達成に自信を見せる。2026年第1四半期の累計納車は11万155台で、前年同期比25.82%増。3月単月では5万29台まで回復した。

この数字を業界内で位置づけると、BYDが2025年通年で約425万台を販売し、NIOが同年約22万台にとどまったことを踏まえれば、Leapmotorの100万台目標はBYDに次ぐ第2グループへの躍進を意味する。新興メーカーとしては野心的だが、足元の成長ペースを年間に換算すれば40万台超の水準にあり、下半期の新モデル効果を加味すれば非現実的とは言い切れない。

牽引役は新モデルのA10とD19だ。コンパクトモデルA10は受注が社内予想を大幅に上回り、4月下旬から2交代制生産に移行。日産1000台超を達成し、5月には月産2万6000台超、6月には3万〜3万6000台を見込む。急ピッチで生産能力を引き上げている。

SUVのD19は上位市場を狙うモデルで、実際の取引価格が25万元(約536万円)以上に集中。ブランドの高級化路線が初期段階で手応えを得ている。Leapmotor はかつて低価格モデルT03で知られたが、製品戦略は明らかに変質した。

4シリーズ体制とLafa 5 Ultraの投入

現在の製品ラインナップはA・B・C・Dの4シリーズで構成される。Aシリーズが地方都市の需要を取り込み、Dシリーズでブランド価値を引き上げる。B・Cシリーズは量販モデルとしてスケールメリットを担う。役割分担が整理された製品マトリクスだ。

北京モーターショーで発表されたLafa 5 Ultraは、価格11万8800〜12万4800元(約255万〜268万円)ながら、LiDARを含む27個のセンサーとQualcomm Snapdragon 8650チップ(200TOPS)を標準搭載する。全長4490mm、最高出力180kW、0-100km/h加速5.9秒。航続距離は500kmと600kmの2仕様だ。

日本で購入できる近い価格帯のBEVと比べると、その装備差は鮮明になる。BYD DOLPHIN(363万〜407万円)は航続距離400km・最高出力150kWでLiDAR非搭載。日産サクラ(約255万円〜)は軽規格で航続距離180km。Lafa 5 Ultraは円換算で同等以下の価格でありながら、航続距離・出力・先進運転支援の装備水準で大きく上回る。中国国内向けの価格設定とはいえ、コストパフォーマンスの差は明白だ。

欧州現地生産へ——スペインCKDの意味

海外展開の次のステップとして、2026年第4四半期にスペインでCKD(部品輸出・現地組立)方式による生産を開始する計画が明らかになっている。製造だけでなく、物流・財務・ブランディングを含む現地運営体制の構築を目指す。

EUが中国製EVに対する追加関税を課す中、現地生産は関税回避の実利がある。BYDがハンガリーやトルコに工場を建設する動きと同じ方向であり、中国EVメーカーによる欧州生産拠点の確保は業界全体のトレンドになりつつある。Leapmotor の場合、Stellantisのスペイン既存工場を活用できる可能性が高く、投資リスクは相対的に低い。

海外販売比率を現在の36%超から60%に引き上げるという目標は、裏を返せば中国国内の競争激化に対するリスクヘッジでもある。価格競争が過熱する中国市場だけに依存しない収益構造を作る狙いだ。

Stellantis網で日本参入は可能か

では、Leapmotor が日本に来る可能性はあるのか。現時点で日本参入に関する公式発表はない。ただし、いくつかの条件は整いつつある。Stellantisは日本でプジョー、シトロエン、フィアット、ジープなどを展開しており、販売・サービスの基盤がある。Leapmotor の欧州展開と同じロジック——パートナーの既存網を活用する方式——は、日本でも適用可能だ。

A10やLafa 5 Ultraのような300万〜500万円クラスのコンパクトモデルは、日本のCEV補助金(BEV最大85万円)を加味すれば実質200万円台も視野に入る。軽EV以外のBEV市場がまだ小さい日本で、価格競争力のあるモデルを投入できれば一定の需要は見込める。

ただし、CHAdeMO対応や右ハンドル仕様の開発、日本の安全基準への適合といったハードルは残る。Leapmotor が年内に投入予定のA05やD99を含め、新モデルラッシュが一段落した後に日本市場の優先度が上がる可能性はあるが、2026年中の参入は現実的ではないだろう。

出典

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BLADE NOTE編集部
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