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NIO李斌が提唱する電池・半導体の標準化 – EV原価50%超の構造改革

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中国EV: NIO李斌が提唱する電池・半導体の標準化 – EV原価50%超の構造改革
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EVの車両原価の50%超を電池と半導体が占める——。NIO(蔚来汽車)の李斌CEOが、業界全体で1,000億元(約1.45兆円)規模のコスト削減につながる標準化を提唱した。

「売れば売るほど苦しい」構造的ジレンマ

2026年4月11〜12日に北京で開催された「智能電動車発展フォーラム2026」で、李斌は業界が直面する課題を率直に語った。「台数は増えても売上が伸びない。売上が伸びても利益が出ない」。スマートEVの開発サイクルが加速した結果、新型車は短期間の販売ピークを迎えた後に急落するパターンが常態化しているという。

需要が急増すればサプライチェーンは増産に走り、生産体制が整った頃には需要が萎んでいる。李斌は「1車種あたり数億元の資源が無駄になるのが当たり前になっている」と指摘した。

NIO自身は2026年第1四半期の納車台数が前年同期比98.3%増の8万3,465台に達し、急成長フェーズに入った。2025年第4四半期には営業利益12.5億元(約1.8億ドル)を計上し、初の四半期黒字を達成している。利益が出始めたタイミングだからこそ、業界全体の構造問題に目を向ける余裕が生まれたともいえる。

電池セルの規格統一 – 乾電池モデルの応用

李斌が標準化の最有力候補に挙げたのが電池セルだ。現状、各メーカーが独自仕様のセルを採用しており、サプライチェーン側が柔軟に生産能力を振り分けられない。需要変動のリスクを電池メーカーが丸ごと抱え込む構図になっている。

李斌は単3・単4乾電池を引き合いに出した。民生品では規格が統一されているからこそ、生産能力の心配をする必要がない。EV用セルでも同じ発想が成り立つ、というのが主張の骨子だ。

「中ニッケル三元系と高ニッケル三元系のセルは、技術的な収束が十分に進んでいる。標準化のタイミングとして適切だ」と李斌は述べた。LFP(リン酸鉄リチウム)が中国BEVの約7割を占める一方、プレミアムセグメントではNMC三元系が依然主流であり、ここの規格統一が進めばインパクトは大きい。

半導体1,000品番の現実

もう一つの焦点が車載半導体だ。36Krの報道によれば、李斌は「電芯の標準化と半導体の統合を速やかに推進すべき」と呼びかけた。NIOの最新モデルES9には1,000品番以上、個数にして4,000個超の半導体が搭載されている。

NIOは社内で品番数を400まで削減する取り組みを進めているが、1社の努力だけでは限界がある。李斌は行政当局がメーカーと連携し、互換性のある統一規格カテゴリを策定するよう求めた。品番の集約はサプライチェーンの強靭化に直結し、中国国産チップの採用を経済合理性のある選択肢にする効果も見込める。

1,000億元削減の内訳を読む

李斌は「電池の標準化と半導体の集約で、バリューチェーンのどの段階の利益も削ることなく、業界全体で1,000億元以上のコスト削減が可能。1台あたり数千元のコストダウンになる」と試算を示した。

項目 現状の課題 標準化による効果
電池セル メーカーごとに独自仕様、需給調整が困難 サプライチェーンの柔軟な生産配分
車載半導体 1車種で1,000品番超、調達リスク大 品番集約で調達コスト・在庫リスク低減
削減規模 業界全体で1,000億元(約1.45兆円)

この数字の実現可能性はどうか。電池とチップが車両原価の50%超を占めるという前提に立てば、中国の年間NEV販売が1,000万台規模に達した現在、1台あたり数千元の削減で兆円単位の総額になる計算自体は成立する。ただし「バリューチェーンのどの段階も損をしない」という部分は、電池メーカーや半導体サプライヤーとの利害調整が前提であり、実行のハードルは低くない。

NIOはバッテリー交換(スワップ)事業で2,700カ所超のステーションを運用しており、電池規格の統一は自社のBaaS(Battery as a Service)モデルとの親和性が高い。標準化の推進は業界全体の効率化であると同時に、NIOのビジネスモデルを有利にする側面もある。李斌の提言を「業界のため」と額面通りに受け取るだけでなく、各社の思惑を読み解く視点も必要だろう。

出典

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BLADE NOTE編集部
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