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Zeekr 007が19.39万元に値下げ — BYD SEAL・Xiaomi SU7と三つ巴の価格競争が日本市場にも波及するか

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中国EV: Zeekr 007が19.39万元に値下げ — BYD SEAL・Xiaomi SU7と三つ巴の価格競争が日本市場にも波及するか
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Geely傘下のプレミアムEVブランドZeekrが、主力セダン007シリーズの大幅アップデートを発表した。開始価格は19万3,900元(1元≒20円換算で約388万円)。従来モデルから実質1万〜1.6万元(約20万〜32万円)の値下げとなる。価格を下げながら装備を引き上げるという、中国EV市場では珍しくない手法だが、今回の内容はかなり攻めている。

900V化と6C充電で武装した新型007

4月11日に正式発表されたZeekr 007(改良型)と007 GTは、期間限定の開始価格19万3,900元(約388万円)に設定された。従来の007が20万9,900元、007 GTが20万2,900元だったため、実質1万〜1.6万元(約20万〜32万円)の値下げだ。通常小売価格は20万3,900元とされているが、限定価格で市場に切り込む構えは明確だ。

技術面では900Vの高電圧アーキテクチャへの移行が大きい。最大6Cの超急速充電に対応し、10%から80%までの充電時間はわずか約10分。CLTC航続距離は最大905kmに達する。

900Vアーキテクチャは中国EV業界で急速に広がりつつある。Porsche Taycanが先鞭をつけた800V超の高電圧プラットフォームだが、中国勢ではXpeng G9やGAC Aionに続き、Zeekrも採用に踏み切った。充電速度の差は日常のユーザー体験に直結するため、今後のスタンダードになる可能性が高い。

さらにLiDARを全車標準装備とし、NVIDIAのDrive Thor-Uチップによるスマートドライビング機能も強化された。バッテリーやメモリチップのコスト上昇で値上げの観測もあったが、Zeekrはサプライチェーンのコスト圧力を吸収して価格競争力を維持した格好だ。

同価格帯のライバルとの比較

19万〜25万元の中国EVセダン市場は、いまもっとも激しいセグメントの一つ。Zeekr 007の直接的なライバルとなるのがBYD SEALとXiaomi SU7だ。

項目 Zeekr 007(改良型) BYD SEAL Xiaomi SU7
開始価格 19.39万元〜(約388万円) 17.98万元〜(約360万円) 21.59万元〜(約432万円)
電圧アーキテクチャ 900V 800V 800V
最大航続距離(CLTC) 905km 700km 830km
急速充電 6C対応 3C対応 3C対応
LiDAR 標準装備 なし 上位グレードのみ
スマートドライビングチップ NVIDIA Thor-U NVIDIA Orin NVIDIA Orin

スペック上、Zeekr 007は900V・6C充電・LiDAR標準という三点で頭一つ抜けている。一方でBYD SEALは17.98万元からという価格の安さが武器。Xiaomi SU7はスマートフォンとのエコシステム連携やデザイン面でのブランド訴求力がある。

三者三様の戦い方だが、Zeekr 007の値下げによって価格差が縮まり、純粋なスペック比較で選ぶユーザーにとっては007が有力な選択肢に浮上した。なおBYD SEALのスペックはBYD公式サイト、Xiaomi SU7はXiaomi公式サイトの公表値に基づく。

Geelyグループの戦略とZeekrの位置づけ

Zeekrの積極的な価格戦略は、親会社Geelyグループ全体のEV戦略と無関係ではない。GeelyはVolvo Cars、Polestar、Lotus、Smartなど複数のブランドを傘下に持ち、ブランドごとに異なるセグメントをカバーする体制を構築してきた。Zeekrはその中で「テクノロジー先行のプレミアムEV」というポジションを担う。

2026年3月のZeekrブランド販売台数は2万9,318台で、前年同月比90.11%増。第1四半期の累計は7万7,037台に達した。勢いに乗るタイミングで007シリーズの競争力を引き上げ、ミドルEVセダン市場でのシェア拡大を狙う。

同時に発表されたフラッグシップZeekr 001の5周年記念エディション(36万5,000元〜)は、0-100km/h加速2.91秒、最大出力680kW(925PS)、CATLの麒麟電池103kWh搭載というサーキット志向の仕様。上下のラインナップを同時に強化することで、ブランド全体の存在感を高める狙いが見える。

BYD SEALの日本価格に値下げ圧力はかかるか

BYD SEALは日本でも販売されている。日本仕様の価格は528万円からで、中国での17.98万元(約360万円)とは168万円もの開きがある。

ただしBYDは日本市場でもすでに価格調整に動いている。ATTO 3は2023年の発売時440万円だった価格を、2024年のマイナーチェンジで実質的に引き下げた。DOLPHINも2024年に値下げを実施し、エントリー価格を363万円から引き下げている。中国国内での激しい価格競争がグローバルの価格設定にも波及している証拠だ。SEALについても、2026年後半にモデルイヤー更新を控えており、価格改定が行われる可能性はある。

Zeekr自体はまだ日本に正式参入していない。ただしGeelyグループはVolvo・Polestar・Smartを通じて日本市場にすでに足場を持っている。900V・6C充電という技術は、日本のCHAdeMO規格との互換性や充電インフラの整備状況から、すぐにそのまま恩恵を受けられるわけではない。しかしCHAdeMO協議会が策定を進めるChaoJi規格は最大900kW対応を見据えており、充電技術の進化は中国市場だけの話にはとどまらない。

中国での三つ巴の価格競争は、BYDが2025年に日本で約2,200台を販売した実績を踏まえれば、対岸の火事ではない。中国でのコスト低減と技術向上は、BYDの日本向け次期モデルの価格設定に直接反映される。SEALの次回価格改定が一つの試金石になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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